[III-P-101] ビタミンB1が治療に奏効した肺高血圧症の1例
Keywords:肺高血圧, ビタミンB1, Leigh脳症
【はじめに】通常の治療に反応の乏しい肺高血圧症の原因の一つとして、ビタミンB1欠乏があげられる。今回、薬物治療に反応不良な肺高血圧症患者に対して、ビタミンB1投与が奏効した1例を経験したので報告する。【症例】1歳2ヶ月の女児。経口摂取不良、嘔吐を主訴に総合病院小児科に入院。その後も症状改善なく、代謝性アシドーシス合併もあり当院総合診療科へ紹介入院。入院時のBNPが273.9pg/mlと上昇していたため当科に紹介となり、心エコー上TRPG77mmHgの肺高血圧症を認めたため当科に転科となった。ほどなく肺水腫、低酸素血症が出現したため、人工呼吸器管理下に集中治療を開始。肺高血圧症に対し、sildenafil、beraprostの内服、NO吸入、epoprostenol持続静注を順次導入するも反応に乏しく、さらに血圧維持に高用量のDOA/DOB、adrenalineを要した。しかしビタミンB1を投与したところ、肺高血圧は速やかに改善し、血圧も正常化した。採血でも投与前に低値であったビタミンB1が、肺高血圧改善後に上昇を認めた。意識状態の改善が乏しいことから施行した頭部CT、頭部MRIにて両側基底核に対称性の病変を認め、Leigh脳症の可能性が考えられたため、現在その原因を検索中である。【まとめ】薬物治療に抵抗性の肺高血圧患者に、ビタミンB1が著効した症例を経験した。ビタミンB1補充後、速やかに肺高血圧症、心不全症状ともに改善した。ビタミンB1が欠乏した原因としては、何らかの神経・代謝性疾患(Leigh脳症疑い)による経口摂取不良によるものと考えており現在検索中である。原因不明の肺高血圧ではビタミンB1欠乏を鑑別にあげることが必要である。