[III-P-108] 当院で経験した21トリソミーの心臓手術施行例のまとめ
Keywords:21トリソミー, 術後合併症, リスク
【背景】21トリソミーは心疾患を合併することが多く、またその心臓手術の術後経過は様々であり、死亡に至る例も少なくない。【目的と方法】2005年~2014年の10年間に当院で経験した心疾患合併21トリソミー児の心臓手術施行例について合併症や死亡のリスクを後方視的に検討した。【対象】2005年~2014年の10年間に当院で心臓手術を施行した21トリソミー児55例のうちPDAを除外した52例。【結果】男女比23:29、出生体重450~3738g (平均 2448g±450g)。疾患は VSD+ASD 22例(42.3%)、AVSD 17例(32.7%)、VSD 7例(13.5%)、ASD 2例(3.8%)、TOF 2例(3.8%)、TAPVC 1例(1.9%)、CAF 1例(1.9%)。一期根治術施行群(A群) 41例、二期的手術施行群(B群)7例、姑息術施行群(C群)4例。根治術後在宅酸素を必要としたのはA群3例で、術前肺血管抵抗高値1例、超低出生体重児例 1例、サイトメガロウイルス感染に伴う肺高血圧が1例であった。術後心筋炎発症がA群1例で一過性骨髄異常増殖症(TAM)の既往あり。死亡例は6例(A群 3例、C群3例)で、平均手術施行月齢は2.3± 0.6ヶ月、平均体重は3.1±0.9kg。白血病発症例が2例(A群 1例、C群1例)、肝線維症による出血傾向や循環不全での死亡例が2例(A群 1例、C群1例)、感染症が契機となった例が2例(A群 1例、C群1例)。白血病発症例はA群で術後10日、C群で術後3ヶ月に発症。術後出血傾向や循環不全での死亡例は2例とも極低出生体重児で手術施行時体重は2000g以下であった。死亡例の半数は新生児期にTAMの既往があり(A群2例、C群1例)、1例は出血傾向で、2例は術後感染症を契機に死亡。【まとめ】死亡例はTAMや白血病の合併、感染症が契機になることが多かった。心臓手術自体の負担や、血液疾患などの合併、体重などのリスクを考慮しながら慎重に治療方針を決定する必要がある。また術後の感染症にも十分な注意が必要と考えた。