[III-P-110] 大動脈解離を発症したターナー症候群の一例
Keywords:ターナー症候群, 大動脈解離, 解離性大動脈瘤
【はじめに】ターナー症候群は特異顔貌、翼状頚、低身長、性腺機能不全を主徴とする性染色体異常症である。心血管合併症としては大動脈縮窄、大動脈二尖弁、大動脈拡大などの左心系の異常が多く、特に大動脈解離による突然死には注意が必要である。大動脈解離合併例の本邦での報告は少なく、特に若年例における大動脈解離発症例の報告は極めて少ない。【症例】症例は13歳女児。12歳時の学校健診で低身長を指摘され、近医を受診し、精査の結果、ターナー症候群と診断され、成長ホルモン補充療法のため通院中であった。発症9ヶ月前に心血管合併症の精査のため、心臓超音波検査が行われていたが、特に異常は指摘されていなかった。発症当日、早朝からの腹部および背部の激痛・血便を主訴に当院に紹介となり、心臓超音波検査にて大動脈解離と診断した。速やかに循環器専門施設に搬送し、造影CTにて弓部から腹部までの解離と両側腎梗塞、腸管虚血が疑われたため、同日緊急手術が行われた。一部上行大動脈の解離も否定できなかったため、全弓部置換が行われたが多臓器不全が進行し、術後2日目に永眠された。【結語】ターナー症候群の心血管合併症の中でもとりわけ大動脈解離は時に致死的経過をとることがあり注意を要する。