[III-P-115] 大動脈間走行をきたす右冠動脈左valsalva洞起始症の2例
Keywords:右冠動脈, 大動脈間走行, 中京病院
【背景】右冠動脈左Valsalva洞起始症はカテーテル検査の普及とともに散見され、予後良好なものと考えられていたが狭心症や突然死を伴う例も報告されている。今回2例の右冠動脈左valsalva洞起始症(大動脈間走行型)を経験したので報告する。【症例1】3か月男児、生下時より心室中隔欠損症、卵円孔開存、Down症候群の診断。肺高血圧症の進行をみとめ、心臓カテーテル検査施行、大動脈造影で左valsalva洞から起始する単一冠動脈と診断され、右冠動脈は大動脈-肺動脈の間を走行。術前に心電図で虚血所見認めず,心臓エコー検査では、冠動脈口の乱流を指摘、心筋壁運動異常なし。術中狭窄所見あれば手術介入する方針とした。手術時に左冠動脈と右冠動脈は入口部で分かれており、右冠動脈は壁内走行していた。入口部に狭窄認めたため内膜を切除し入口部拡大を行った。術後経過良好。【症例2】36歳男性。Ebstein奇形、WPW症候群の診断。moderate TR、右房拡張あり、PSVTの発作も頻回に出現し、心臓カテーテル検査で単一冠動脈疑われ、coronary CT施行。左冠動脈は正常走行、右冠動脈は左valsalva洞から起始し大動脈-肺動脈の間を走行。壁内走行もなく、明らかな狭窄所見認めず、負荷試験で有意な虚血所見なし。三尖弁形成術、ablation施行し、冠動脈に対して手術介入行わず、術後運動制限で経過観察中。【考察】自験例ではいずれも症状なく、合併心疾患の精査の際に診断された。冠動脈造影のみでは正確な診断は困難で成人例ではcoronary CTが有用であった。合併心疾患の外科治療が必要な症例で、壁内走行等の狭窄機序が働く症例では積極的な外科治療を考えていきたい。