第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-18 川崎病・冠動脈・血管

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川崎病・冠動脈・血管⑦

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:南 孝臣 (自治医科大学とちぎ子ども医療センター)

III-P-112~III-P-116

[III-P-116] 学校心臓検診で左軸偏位、左室肥大でスクリーニングされた左冠動脈右バルサルバ洞起始の1例

関 俊二, 二宮 由美子, 上野 健太郎, 江口 太助, 野村 裕一 (鹿児島大学病院 小児科)

Keywords:冠動脈異常, 突然死, 学校心臓検診

【背景】先天性の冠動脈起始異常は成人冠動脈造影症例の0.6%~1.0%と報告されており、心臓突然死に関連する先天性心疾患の一つとして広く認識されている。今回、学校心臓検診で特に症状なく心電図異常で発見された左冠動脈右バルサルバ洞起始を経験したので報告する。【症例】生来健康な14歳男児。診断時はサッカー部に所属しており、運動時に呼吸困難や胸痛を訴えることはなかった。失神や痙攣の既往はなかった。中学1年生の学校心臓検診で左軸偏位、左室肥大でスクリーニングされ、前医を受診し心臓超音波検査で冠動脈の起始異常が疑われたため、精査目的で当院を紹介受診した。心電図所見はQRS軸 -30度、SV1 0.7 mV、RV5 5.0 mV、RV6 3.0 mVで左室肥大所見を認め、異常Q波やST-T変化はみられなかった。トレッドミル運動負荷検査では、Modified Bruceでstage7まで到達し、到達心拍数182/分、心電図でのST-T変化や虚血性変化は見られなかった。心臓超音波検査で左冠動脈右バルサルバ洞起始と診断した。心臓カテーテル検査で圧所見に異常なく左冠動脈は大動脈と肺動脈間を走行している事を確認した。【考案および結論】冠動脈起始異常症例の多くは、理学所見に乏しいが運動などを契機に心筋梗塞、狭心症、種々の不整脈、突然死などを合併する危険性が高く、特に左冠動脈右バルサルバ洞起始で左冠動脈が大動脈と肺動脈間を走行する症例では外科的手術が検討される。本症例では心電図所見からの疾患の予測は困難であったが、二時検診抽出による精査を行い適切な日常生活管理指導や手術の必要性の有無、突然死のリスクの軽減、予防に努める事が可能であった。学校心臓検診の成果の一つと考えられた。