第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-19 学校保健・疫学・心血管危険因子

ポスター
小児の心原性心停止

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:14 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:岡本 吉生 (香川県立中央病院)

III-P-122~III-P-125

[III-P-124] 先天性心疾患を合併した低出生体重児の臨床像

石井 陽一郎1, 鏑木 浩太1, 中島 公子1, 田中 健佑1, 池田 健太郎1, 下山 伸哉1, 吉竹 修一2, 田中 佑貴2, 内藤 祐次2, 宮本 隆司2, 小林 富男1 (1.群馬県立小児医療センター 循環器科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

Keywords:先天性心疾患, 低出生体重児, 新生児

【はじめに】出生後早期に外科治療またはカテーテル治療を要する先天性心疾患(CHD)は出生1000人あたり2.4人で、近年CHDをもつ低出生体重児が増加してきおり、その治療方針、予後についての報告が散見される。【目的】当院で入院加療をうけたCHD合併の低出生体重児の臨床経過を明らかにする。【対象・方法】対象は2008年1月から2014年12月までに当院にて入院管理を受けた、出生体重2500g未満の低出生体重児のうち、生後28日以内に当院に入院した乳児892例。重症CHDとは明らかな心内構造異常を持つ疾患または外科的治療を初回入院中に必要としたものと定義して、患者背景、診断、治療、染色体異常の有無と予後についてCHD合併群(C群)とCHD非合併群(N群)にわけて後方視的に検討した。【結果】全892低出生体重児のうち院内出生は702例(78.6%)で、在胎週数32.6±4.7週、出生体重1641±596gで、Apger score 1分6.2±2.9点、5分7.9±2.1点であった。このうちC群は108例(12.0%)であり、C群のCHD内訳として動脈管開存症29例(26.6%)、心室中隔欠損症21例(19.2%)のほかファロー四徴症10例(9.2%)、大動脈縮窄/大動脈弓離断症・両大血管右室起始症各9例(8.4%)、房室中隔欠損症8例(7.5%)であった。染色体異常を含めた奇形症候群は61例(6.8%)に認めた。致死的染色体合併はN群1.0%、C群20.4%であり(p<0.001)、総死亡率はN群3.7%、C群23.2%とC群で有意に高値であった(p<0.001)。致死的染色体異常を除外した死亡率でもN群3.4%、C群8.1%とC群で有意に高値であった(p=0.029)。【結語】当院の入院低出生体重児において出生前診断の普及により、一般的な報告よりもCHD合併症例は高頻度に認められた。染色体異常の合併が多いこともありその予後は不良であった。しかし染色体異常を合併していないCHDについてもその予後は不良で、出生体重を考慮した治療方針・手術介入時期については今後の検討課題と考える。