第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-19 学校保健・疫学・心血管危険因子

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生活習慣病 他

Sat. Jul 18, 2015 11:14 AM - 11:38 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:田村 真通 (秋田赤十字病院)

III-P-126~III-P-129

[III-P-127] 小児循環器疾患患児の家族は、抗加齢を実現している―AGEsを用いた検討

大津 幸枝1,2, 増谷 聡1, 金 晶恵1, 桑田 聖子1, 栗嶋 クララ1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器, 2.埼玉医科大学総合医療センター 看護部)

Keywords:抗加齢, 家族, 先天性心疾患

【背景と目的】小児循環器疾患を有する家族(CHD家族)は、大なり小なり、児の病気の心配や通院のストレスを受ける。一方、児および療育者である自らの健康配慮から、生活はより健康的かもしれない。CHD家族であることは、前者により老化を促進するであろうか、後者により抑制するであろうか。終末糖化産物(AGEs)は、糖尿病やその他の疾病の慢性合併症の発症に極めて重要な役割を果たし、その測定値により老化の評価が可能である。我々はAGEsの測定を通して、前述の臨床的疑問を検討した。
【方法】小児循環器外来を受診した患者のご家族(CHD家族群29名:父5、母22、祖母1、祖父1名、平均44歳)と年齢をマッチさせた病院スタッフ(コントロール群11名、平均44歳)のAGEsを比較した。AGEsはDiang Optics社のAGE Readerを用い、非侵襲的に測定した。年齢を加味した両群のAGEsの比較は、ANCOVAにより行った。
【結果】両群ともに、明らかな異常値を呈した人はいなかった。多変量解析では、性別で有意差を認めなかった。年齢を加味して両群のAGEsを比較すると、CHD家族群は、コントロール群と比してAGEsが低い傾向にあった(P=0.1, β =-0.21)。
【考察】小児循環器疾患の児がいることで、家族は健康的な生活を心掛け、生活習慣病のリスクの低下と抗加齢を実現している可能性がある。児の養育への負担が大きいと考えられるCHD家族の励みにつながる結果といえる。今後さらに症例を増加させ、禁煙・飲酒・運動・生活リズムなどの背景因子を詳細に加味した検討が必要である。