[III-P-129] 在宅酸素療法(HOT)の学童期における問題点
キーワード:在宅酸素療法, 学童期, 肺高血圧
【目的】学童期HOTの特徴・問題点を明らかにする。【方法】2006年5月~2014年12月の間に当科において18歳までにHOTを開始した111例について、開始年齢、疾患、施行理由、中止理由を診療録を用い後方視的に調査した。また、就学中にHOTを施行した18例(16.2 %)については学校での酸素使用の有無、使用機器、学校種別、学校生活管理指導区分、施行上の問題点も調査した。【結果】男:女=62:49、HOT開始年齢は0-17歳(平均1.3歳)で1歳未満が76例(68.5 %)であった。8例(7.2 %)が就学中に開始していた。疾患別では、単心室修復(SV)群41、二心室修復(2V)群64、後天性心疾患(AHD)群6(心筋症3、特発性肺動脈性肺高血圧IPAH3)。HOTの施行理由はSV群:高肺血管抵抗13/低酸素血症28、2V群:肺高血圧35/低酸素血症29、AHD群:肺高血圧3/慢性心不全3であった。観察期間内でのHOT継続/中止/死亡例は全体では31/71/9(27.9/64.0/8.1 %)で、それぞれの群ではSV群:18/22/1、2V群:10/49/5、AHD群:2/0/4であった。就学中HOT施行の18例では開始年齢0-17歳(平均5.7歳)、就学前10例、就学後8例で開始していた。疾患はSV群8(Glenn術後2、Fontan術後6)、2V群6(肺動脈閉鎖/主要体肺側副動脈4、21 trisomy合併の完全房室中隔欠損2)、AHD群4(心筋症1、IPAH3)。HOT施行理由は、SV群:低酸素血症及び高肺血管抵抗、2V群:心内修復術後の肺高血圧であった。酸素吸入時間が夜間のみは7例(38.9 %)で、11例(61.1 %)は学校で酸素吸入を施行、使用機器は酸素ボンベのみが7例、4例は酸素濃縮器を設置していた。染色体異常や発達遅滞の為に特別支援学級/学校に通学していたのは7例(38.9 %)で、学校生活管理指導区分はB8、C5、D4、E(運動部禁)1であった。学校でのHOT施行を拒否された症例はいなかったが、濃縮器設置については学校で対応の違いがみられた。HOT施行中に緊急を要するトラブルが起こった症例はいなかった。