[III-P-132] 13-,18-トリソミーにおける姑息手術
キーワード:13-トリソミー, 18-トリソミー, 姑息手術
【目的】13-,18-トリソミーは染色体異常による重篤な先天性症候群で,一般に,予後は厳しい.先天性心疾患(CHD)を合併することが多く,治療方針に苦慮することも少なくない.われわれは在宅医療を視野に,ご両親の手術希望に沿うかたちで,本症候群におけるCHDに対し姑息手術を行うことを否定しない.今回,その予後を明らかにすることを目的とした.【対象・方法】CHDを有する13-,18-トリソミー児に対し,姑息手術を施行した連続6例(全例女児,手術時日齢13~74(平均37±26 SD,中央値31))を対象とした.13-トリソミー1例,18-トリソミー5例で,合併する心疾患は心室中隔欠損+動脈管開存3例,両大血管右室起始2例,左心低形成症候群1例であった.診療録と紹介元病院への照会を基に,後方視的に検討した.【結果】全例とも元病院でトリソミーと診断され,心疾患に対する姑息手術のため,当院に転院してきた.手術時体重は1.4~4.8(平均2.6±1.2 SD)kgで,主肺動脈絞扼を4例に,両側肺動脈絞扼を2例に行い,うち3例には動脈管結紮を併施した.麻酔時間174~226(平均196±20 SD)分,手術時間は75~143(平均103±23 SD)分であった.第1病日に1例を突然の心停止で失ったが,残る5例(83%)は耐術した.左心低形成症候群の1例で,第36病日動脈管にSTENTを留置した.2例は抜管し,3例は挿管のまま,第6~49(中央値7)病日に紹介元に再転院した.元病院でさらに2例が抜管可能で,1例に気管切開が行われ,全耐術例が自宅に退院できた.術後観察期間は1,485患児日で,退院症例のうち4例が,術後162~393(中央値292)日に気道感染で永眠した.Kaplan-Meier法による術後30,180,365日生存率は,それぞれ83,67,50%であった.【まとめ】13-,18-トリソミーに合併するCHDに姑息手術を行うことで,容認内のリスクで在宅医療が可能となる.ご両親の意向を汲むかたちで,有用な選択肢と考えている.