第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

ポスター
ファロー四徴症

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:川﨑 志保理 (順天堂大学)

III-P-135~III-P-139

[III-P-136] Kreutzer techniqueによるファロー四徴症、肺動脈弁欠損の治療

阿部 正一1, 坂 有希子1, 野間 美緒1, 石橋 奈保子2, 石川 伸行2, 村上 卓2, 塩野 淳子2, 堀米 仁志3, 松原 宗明4, 平松 祐司4 (1.茨城県立こども病院 心臓血管外科, 2.茨城県立こども病院 小児循環器科, 3.筑波大学医学医療系 小児科, 4.筑波大学医学医療系 心臓血管外科)

Keywords:ファロー四徴症, 肺動脈弁欠損, 外科治療

【背景】Kreutzerらが1999年に報告した手術手技は、瘤化した左右肺動脈壁を切除、縫縮しながら主肺動脈前壁を右室切開へ引き下げ、右室流出路パッチとして使用することで肺動脈を前尾側へと偏位させて気道圧迫を軽減する方法である。【目的】Kreutzer法によるファロー四徴症(TOF)、肺動脈弁欠損(APV)の治療を評価する。【対象】1998年4月から2015年1月までにKreutzer法による外科治療を行ったTOF、APV 4例を対象とした。男児2例、女児2例。術後追跡期間 平均9年(1カ月~15年)。症例1:手術時年齢13日、体重3.1kg、Pulmonary artery index (PAI) 702、気道閉塞症状重度、術前挿管(+)、術後人工呼吸管理 13カ月、気管切開(+)、気管切開離脱 術後9年。症例2:2か月、4.2kg、PAI 1129、気道閉塞症状重度、術前挿管(+)、術後挿管期間1カ月。症例3:17か月、9.8kg。PAI 869、気道閉塞症状軽微、術前挿管(-)、術後挿管期間0日。症例4:3カ月、6.9kg。PAI 705、気道閉塞症状中等度、術前挿管(-)、術後挿管期間6日。【結果】早期死亡、遠隔死亡はなく、再手術例はまだない。症例3以外は気道閉塞症状があり、術前に入院治療となっていた。気管支鏡検査では気管分岐部から左右主気管支の圧迫閉塞および軟化症を認めた。気管切開を行った症例1は、気管支軟化症が左右気管支末梢分岐部まで及んでいて、肺動脈による気道圧迫の解除だけでは気道閉塞病変の解決には至らなかった。しかしながら肺動脈による圧迫を解除したことで気管支軟化症は成長ともに改善して気管切開からも離脱可能となった。気管切開既往例も含め、通常のTOF患児と同等の運動制限で経過観察中である。【考察】Kreutzer法は通常のTOF手術手技と同様な手順で新生児から幼小児にも容易に適応できる。気道圧迫解除効果は十分に期待できるが、気管支軟化症が広範囲に及ぶ症例に対しては気道系に対する特段の配慮が必要である。