第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-01 外科治療

ポスター
ファロー四徴症

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:川﨑 志保理 (順天堂大学)

III-P-135~III-P-139

[III-P-137] ファロー四徴における体肺動脈短絡術後の肺動脈弁輪の成長

富永 佑児1, 川田 博昭1, 盤井 成光1, 奥田 直樹1, 小渡 亮介1, 小森 元貴1, 萱谷 太2, 稲村 昇2, 濱道 裕二2, 河津 由紀子2 (1.大阪府立母子保健総合医療センター 心臓血管外科, 2.大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)

Keywords:ファロー四徴, 体肺動脈短絡術, 肺動脈弁輪

<背景>ファロー四徴(TF)で体肺動脈短絡術(SP)後の肺動脈弁輪の成長に関しては意見の一致をみていない.<目的>SP後の肺動脈弁輪の成長とその要因の検討.<対象>2000年から2014年に,TF症例でSPを施行した44例中,肺動脈閉鎖,肺動脈近位部欠損,房室中隔欠損,他疾患での死亡,超低出生体重児,複数回のSPの症例を除外した27例.SPのePTFE graft径は3.5(1),4(23),5mm(3例)であった.<方法>検討1:SP前と根治術前の心エコー検査(UCG)による肺動脈弁輪径(PVD)を比較した.検討2:現在の当院でのTF根治術の弁輪温存の基準の一つはZ score -3.0である.SP前に基準以下であった20例を,根治術前に基準内になったL群と基準以下のままであったS群に分けて比較した.UCGと心カテ検査はSP前と根治術前に行った. SP前因子(PVD,月齢,BSA,LVDd,LVEDV,PA index,体血圧),根治術前因子(LVDd,LVEDV,SaO2)を検討した.<結果>検討1: PVDのZ scoreはSP前-3.7±1.7から根治術前-2.8±1.6となり,PVDは増大した(p<0.01).検討2: L群は13例,S群は7例. SP前に心カテ検査を施行したのはL群9例,S群6例.Z scoreはSP前L群-3.8±0.78,S群-5.3±1.6で,L群でPVDは大きかった(p=0.03). SP術前の,月齢(L群,S群:5.9±3.8,2.1±1.1,p=0.01),BSA(0.34±0.06,0.22±0.04,p<0.01),PA index(243±87,102±36,p<0.01)は,L群の方が大きく,体血圧も高値であった(p=0.03). SP前のLVDd(76.9±8.0,84.4±8.9%正常値)とLVEDV(94.7±15.7,103.1±23.3%正常値)に差はなかったが,根治術前/SP前比はLVDd(1.3±0.2,1.1±0.1,p=0.02),LVEDV(1.9±0.4,1.4±0.2,p=0.05)ともL群が大きかった.SP前検査と根治術前検査の間隔(13.3±3.8,12.7±10.5ヶ月)には差が無かった.根治術前のSaO2(87.5±5.1,78.7±8.4,p=0.02)もL群が高かった.<結語>ファロー四徴において体肺動脈短絡術後,肺動脈弁輪の成長を認めた.肺動脈弁輪の成長には,体肺動脈短絡術による肺血流量の増大の関与が示唆された.