[III-P-139] ファロー四徴症・肺動脈弁欠損に対する3弁付ePTFEグラフトを用いた右室流出路形成術
Keywords:肺動脈弁欠損, ファロー四徴症, 外科治療
【背景】肺動脈弁欠損を合併したTOFは稀な病型であり、術式や遠隔成績の報告は多くない。【症例1】9ヶ月女児。体重6.16kg。40週2802gで出生。出生後にTOF・肺動脈弁欠損・retro aortic arch・RAAと診断。PA拡大あるも、呼吸器合併症はなかった。UCGではVSD径11.1mmのLRシャント、肺動脈弁は欠損しており、弁輪径は4.2mmでflow4.42m/s・PG78.2mmHgのPSであった。心カテーテルではQp/Qs2.42、RVP87/14mmHgであった。3弁付ePTFEグラフトは16mmグラフトと0.1mm Goretex patchから3弁付きconduitを作成した。心停止下にVSD閉鎖。PAを縦切開すると、肺動脈欠損と弁輪部での狭窄を認めた。近位部は弁輪部を超えて右室心筋まで切開を延長した。弁輪部を利用してePTFEグラフトを右室流出路と縫合し、遠位部はmain PAと縫合した。術後UCGでは、flow1.9m/s・PR trivialであった。手術室抜管、術後1日にICU退室、術後14日で退院した。【症例2】5ヶ月男児。体重6.3kg。TOF・肺動脈弁欠損と胎児診断されていた。UCGではVSD径13.9mmのLRシャント、肺動脈弁輪径4.2mmでflow4.3m/s・PG73.7mmHgのPSであった。心カテーテルではQp/Qs2.55、PAI496であった。手術は14mm のグラフトを用いて同様の術式を行った。術後UCGでは、flow1.8m/s・PR trivialであった。手術室抜管、手術翌日にICU退室、術後17日で退院した。【考察】右室流出路形成術は1弁付グラフトが使用されてきたが、遠隔期のPR増悪に伴う心不全が課題とされている。3弁付ePTEFグラフトの作成は比較的簡便で、より生理的な血行動態や遠隔期成績が期待できる。