[III-P-149] Bridge to Recoveryを目指した循環補助としての小児ECMOの成績
Keywords:ECMO, 心臓手術後, 術後管理
【背景】心臓手術で人工心肺離脱が困難な場合や術後に急変した場合、心筋炎などで循環が破綻した場合はやむを得ずECMOを導入することになるが、その結果は決して満足できるものではない。当院では2005年よりECMOに対する治療方針を変更し、より積極的にECMOを導入する、カテコラミンの使用を極力控える、などの改善を行ってきた。今回その結果を報告し、問題点とさらなる改善点について検討する。【方法および結果】1997年1月から2014年12月の間で、18歳以下の心臓手術後および心筋炎等で循環が破綻した患者に対し、ECMOを導入した症例は104名114例であり、10名の患者が2回ECMO導入となった。年齢は0~14歳で、中央値は77日であった。先行手術は姑息手術が66名、根治手術が23名であり、最も多かった術式はmodified Norwood 手術で25名であった。導入理由は、人工心肺離脱困難37例(32%)、CPA33例(29%)、LOS26例(23%)、低酸素血症18例(16%)であった。ECMO導入患者114例中68例(60%)が離脱に成功。35名が退院できた。ECMO時間は離脱群で175±213時間、死亡群で393±374時間で、有意に離脱群で短かった。治療方針を変更した2005年以降ではECMO離脱率72%(85例中61例)と、それまでの24% (29例中7例)に比べ、大幅な改善がみられた。【まとめ】ECMOの導入を積極的に行うこと、ECMO中の管理について改善を重ねていくことでECMO導入による救命率は向上している。ECMOは小児心疾患患者術後における生命維持装置として有効な手段であると考えられ、現在ではbridge to recoveryとして積極的に導入すべきと考える。