第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

2-02 体外循環・心筋保護

ポスター
体外循環①

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:平田 康隆 (東京大学医学部附属病院)

III-P-149~III-P-152

[III-P-150] 先天性心疾患術後重症呼吸障害に対し、awake ECMOが有効であった1例

東田 昭彦1, 鍵崎 康治1, 帆足 孝也1, 吉田 幸太郎2, 林 輝行2, 白石 公3, 市川 肇1 (1.国立循環器病研究センター 心臓血管外科, 2.国立循環器病研究センター 臨床工学部門, 3.国立循環器病研究センター 小児循環器科)

Keywords:Awake ECMO, 術後管理, 間質性肺炎

【背景】awake ECMOは肺移植preconditioningとして導入され近年では心原性ショックからのrecoveryやbridge to decisionに対する有効性も報告されている。一方小児開心術後呼吸管理に対する安全性や有効性の報告はない。【症例】4歳男児。診断は房室錯位、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、僧房弁閉鎖不全(MR)。2か月時のBAS、3歳時のPTPVを経て付加的大動脈肺動脈吻合を併施した解剖学的修復術(Sennnig + Rastelli)、僧帽弁形成術を施行。術翌日抜管。喀痰多量で非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)導入も術後3日に両側広範囲無気肺による呼吸不全のため再挿管。呼吸障害の原因は残存する中等度MRと肺静脈還流路のdynamic obstructionのためと考えられた。以降も喀痰多く、左横隔膜縫縮術を経て術後19日に再度抜管。その後、頻回の加圧吸痰、高濃度酸素投与が原因と考えられる間質性肺炎(RDS)を発症し術後46日に高炭酸ガス血症、低酸素血症著明となり、挿管管理とするも改善せず、ENDUMO®4000を用い右頚部からVA-ECMO装着。導入2日に肺出血による両側広範囲無気肺を発症。ECMO補助下で自己咳嗽・喀痰排出による無気肺改善を期待し、導入9日にawake ECMO開始。一旦肺出血増加のため再度深鎮静を要したがACTを160-180秒で管理、塩酸モルヒネ2μg/kg/分による鎮痛、ミダゾラム0.2mg/kg/時による鎮静下にawake ECMOを継続、徐々に両肺含気改善、間質陰影消褪得られ、導入19日(術後64日)にECMO離脱に成功。人工呼吸器離脱に長期リハビリテーションを要したが術後204日に独歩退院。術後10か月の現在元気に外来通院中である。【結論】awake ECMOにより重症呼吸障害が改善した1例を報告した。小児開心術周術期呼吸管理においてもawake ECMOは安全かつ有効な方法と考える。