[III-P-152] 単心室循環におけるECMO管理の現状
Keywords:単心室循環, ECMO, 術後管理
【背景】先天心疾患周術期のECMO補助の有用性は数多く報告されているが、単心室循環患者に対するECMOの報告は限られている。【目的と方法】その現状を明らかにするため2007年1月-2014年12月に当院CCUでECMO管理を要した単心室循環患者の診療録を後方視的に検討した。【結果】期間中37名(男17)の単心室循環患者に延べ43例ECMO補助を施行した。平均月齢2.3ヶ月(0-113)、体重3.2kg(1.7-19)であった。導入時の循環動態は両側PAB7例、シャント23例、Glenn2例、TCPC 6例、その他5例。導入理由はCPB離脱困難15例、ECPR 16例、その他12例であった。43例中34例(79%)でECMO離脱可能であり20例(47%)が生存退院した。導入前の動脈血pHの中央値は7.40(6.64-7.55), 乳酸値の中央値は8.9(1.0-22.5)mmol/l、離脱群と離脱不可群間でいずれも有意差は認めなかった。ECMO補助期間の中央値は124(43-533)時。補助期間中6例に止血術を要する出血の合併が見られた。離脱不可であった9例中5例が敗血症、3例がMOF、1例が酸素化不良であった。ECMO補助下で5例にカテーテル検査による血行動態の再評価を行い、うち4例で介入が必要な残存病変を認めた。離脱34例のうち15例(44%)は、シャント調整やfenestration 作成等の肺血流調整を中心とする手術介入を行うことで離脱可能となった。【結論】単心室循環患者においてもECMO補助はCPB離脱困難例や急変時の蘇生として有効であった。心機能低下が主問題となる2心室循環のECMOとは異なり、単心室循環のECMOでは血行動態的問題が残存していることが多い。さらなる離脱率向上のためにはカテーテル検査等による血行動態の評価や残存病変の有無、それに対する外科的介入を速やかに行う必要がある。