[III-P-157] -発達した類洞交通および右室低形成を伴うPA/IVSにおける当院の治療戦略-
キーワード:類洞交通, 右室低形成, 右室依存性冠循環
目的】純系肺動脈閉鎖症(PA/IVS)で類洞交通(SC)が著明である場合、右室依存性冠循環である可能性があり、その成績は不良とされている。この疾患群に対し、当院では1.BT-shunt、2.Glenn、3.TCPCの各段階毎に対策を講じてきた。それら管理の効果、およびsurgical outcomeについて報告する。対象・方法】対象は2008年以降当院でPA/IVSと診断を受けた11例で、全例著明なSCおよび右室低形成(RVEDV:22.5±12.0% of N)を合併しており、単心室修復を目標とした。なおBT-shuntにおいては、術前からSpO2を目標値(75-85%以下)に抑え、前負荷軽減を主体とした心不全管理を原則とした。なおBNP値も手術時期決定の指標とした。BT-shunt時の術中対策としてはPDA ligationを基本とし、加えて血管抵抗および心負荷(後負荷)軽減のため血管拡張薬等を積極的に用いた。またGlenn術中においては右室圧減圧による心筋虚血を回避するためV-V ECMO補助とし、心房中隔欠損孔拡大術も閉鎖式で行った。TCPC時には、経時的なSC regressionの程度により術中の補助循環法を選択した。なお各stageでの冠動脈分布、および心筋虚血評価は心臓カテーテル検査、および脂肪酸代謝シンチ(BMIPP )で行った。結果】BT shunt施行後が3例、BDG到達が4例、TCPC到達が4例であった。BT-shunt術前のBNP値の推移はpeak値1562.7±1608.8 pg/mlから503.9±670.7 pg/mlであり、明らかに低減できた。Glenn手術は全例VV-ECMO下に施行し、またTCPCは、SC regressionの程度に応じ3例がV-V ECMO下で、1例がCPB下で行った。なお全経過を通して死亡例は認めなかった。考察】上記管理により、本疾患群に対する良好な結果を得た。特にBTS時の周術期管理および、BDG時の右室減圧予防が生存率の改善に寄与していると考えている。