第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム15
児童生徒の心臓性突然死

2015年7月18日(土) 08:30 〜 10:00 第1会場 (1F ペガサス A)

座長:
太田 邦雄 (金沢大学)
吉永 正夫 (鹿児島医療センター)

III-S15-01~III-S15-06

[III-S15-02] 児童生徒の心臓性突然死防止に向けて:学校検診と救急蘇生の新たなエビデンス

三谷 義英1, 大槻 祥一郎1, 淀谷 典子1, 大橋 啓之1, 澤田 博文1, 太田 邦雄2, 住友 直方2 (1.三重大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.日本小児循環器学会蘇生科学委員会)

キーワード:学校心臓検診, 心臓性突然死, AED

【背景】経過観察無し例を含む心原性院外心停止(OHCA)の病因、発症状況の解析から、検診の有効性、ECG検診抽出困難疾患の高い運動誘発率が認められ、検診と蘇生の重要性を報告してきた。今回、Utstein研究から若年成人との対比での児童生徒のOHCA、児童生徒のアンケート研究からの検診による抽出、管理の特徴と問題点を検討した。【方法】対象は、(1)人口レベルのOHCAの消防庁登録から、2005-12年に救急搬送された7-35歳のOHCA38,103例の内、非家族により目撃され日中(6:00-17:59)の心原性OHCA1194例、(2)アンケート調査から、2005-09年に発症した小中学生の心原性OHCA58例。【結果】(1)年齢区分は、小学生(A群、7-12y、n=60)、中高生(B群、13-18y、283)、大学生年齢(C群、19-22y、161)、若年成人(D群、23-35y、690)。社会復帰率: A群35.0%(p=.118 vs D群)、B群43.5(<.001)、C群36.6(.005)、D群25.7、bystander CPR: A群75.0%(.110)、B群77.7(<.001)、C群67.7(.468)、D群 64.7、bystander AED: A群25.0%(.016)、B群35.3(<.001)、C群18.6(.088)、D群13.4、全AED: A群66.7%(.817)、B群83.0(<.001)、C群80.7(.002)、D群68.1%、初期波形VF: A群60%(.624)、B群79.2(<.001)、C群73.3(.016)、D群63.2。(2)疾患区分は、先天性心疾患(CHD、n=10)、心筋疾患(MD、16)、不整脈(Arr、17)、冠動脈奇形(CA、7)。発症前経過観察率は、CHD100%、MD69%(内HCMで75%、緻密化障害NLVで33%)、Arr29%(LQTの昼例67%、真夜例0%、iVFとCPVTで0%)、CA0%。経過観察HCM6例中WPW合併2例。学校外発症CHD7例中4例が通学路。学校発症のOHCA前非経過観察例の68%は、ECG抽出困難疾患(iVF/CPVT/CA)であった。【結語】活動時間帯の学生のOHCAでは、社会復帰率、bystander CPR&AED率が高いが、改善の余地がある。検診の施行される日本では、ECG検診抽出困難疾患の割合が高いが、HCM、NLV、LQT2,3の抽出、CHDの通学路の管理で改善が望まれた。