[III-S18-02] 小児期心筋炎の臨床像―全国調査報告
キーワード:心筋炎, 小児, 全国調査
【目的】小児期心筋炎の臨床像を明らかにすること。【対象と方法】対象は2006年1月~2011年12月末日に発症した18歳未満の心筋炎で学術委員会稀少疾患調査に回答を頂いた331例で、全国124施設に二次調査票を送付した。【結果】68施設(54.8%)より各施設1~11症例、計194例(58.6%:男/女=100/94例;年齢中央値6歳3ヶ月(0ヶ月~17歳11ヶ月)であった。感染症~心筋炎発症は中央値3日(0~60日)で病型は劇症型64例(33.0%)/急性130例(59.8%:うち川崎病5例)、転帰は生存146例(75.3%)死亡退院42例(21.7%)、不明3例(1.5%)であった。病型別では劇症型64例中生存32例(退院後死亡2例)、死亡31例、不明1例(蘇生処置後に転院);急性心筋炎は生存117例(退院後死亡1例)、死亡11例、不明2例であった。原因ウイルス(疑い含む)は49例25.3%で診断され、内訳はインフルエンザA 7例/B 5例、コクサッキーB 6例/A 4例、RS 4例、アデノ4例のほかノロ、ロタ、PB 19、エンテロ、パレコなど多彩であった。インフルエンザ心筋炎はH19/H21/H23年の冬に各々2/3/2例診断されていた。組織診断は生検23例(生存例の15.8%:中央値27病日に施行)、剖検13例(死亡例の31.0%)で実施されていた。治療はIVIG 132例(68.0%)、ステロイド56例(28.9%)、体外補助循環47例(24.2%;劇症型64例中43例に使用)が行われBerlin Heartの適応は9例(4.6%)、心移植の適応は3例(1.5%;うち移植済み1例)であった。後遺症を29例(19.9%)に認め、循環器系18例、中枢神経障害9例、その他2例であった。補助循環装置を使用した47例中死亡20例、27例生存 (2例は退院後に死亡; 4例CNS障害)であった。【結論】2003年全国調査と比較すると劇症型心筋炎における体外補助循環使用の割合が増多したものの全体の転帰には差がなかった。インフルエンザ罹患者数に比し心筋炎発症が多いかについては慎重な判断が必要だが、心筋炎は特定の時期に集中すると考えられた。