第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム19
成人先天性心疾患の不整脈

2015年7月18日(土) 08:20 〜 10:20 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
丹羽 公一郎 (聖路加国際病院)
籏 義仁 (昭和大学横浜市北部病院)

III-S19-01~III-S19-06

[III-S19-02] Impact of Oral Amiodarone on Adults with Complex Congenital Heart Disease

宮崎 文, 坂口 平馬, 大内 秀雄, 根岸 潤, 羽山 陽介, 嶋 侑里子, 佐々木 理, 辻井 信之, 津田 悦子 (国立循環器病研究センター 小児循環器科)

キーワード:アミオダロン, 成人先天性心疾患, 副作用

【背景】経口アミオダロン (Am)は、複雑先天性心疾患を有する成人患者 (cACHD)の抗不整脈治療に重要な役割を担っている。Amは肝臓で代謝され脂肪に蓄積し、間質性肺炎や肝障害等の心外副作用を発症するが、cACHD患者では、複数回の手術既往、中心静脈圧上昇や低心拍出により、すでに呼吸器・肝臓に負荷がかかっている場合が多い。【目的】cACHDにおけるAmの効果と副作用発症率および、呼吸機能・肝機能に対する影響を検討すること。【方法】2003-2015年2月にAmを投与したcACHD患者 (≧18歳) 30例 (開始時年齢 24-68 中央値 32歳、観察期間0.1-11.7 中央値 4.4年)を対象とし、心内修復 (R) 17例と未修復 (NR)13例にわけ効果、副作用発症率、呼吸機能・肝機能に対する影響を後方視的に比較検討した。 【結果】著効/有効/無効はR群で6 (35%)/9 (53%)/2 (12%)例、NR群4 (33%)/6 (46%)/3 (23%)で差はなかったが、心室細動 (VF)死亡はR群0、NR群3 (23%)例に認めた (p=0.07)。甲状腺機能障害累積発症率は投与40か月でR群 54%。NR群 60%であった (p=NS)。Am前、両群間でKL-6, SP-Dに差はなく、%肺活量 (%VC) (80±6, 61±6%, p=0.02), %拡散能 (%DLco) (82±8, 111±9%, p=0.03)はR群で低値であった。経過中NR群1例が間質性肺炎を発症し死亡した。これを除き、投与前-観察終了時の比較で、両群でKL-6, SP-D, %VCに差はなかったが、%DLcoはNR群で低下した (-20±24%, p=0.02)。肝酵素 (T-bil, AST, ALT, ALP, γGTP, ChE, LDH)はAm前に両群間で差がなく、投与前-観察終了時の比較でも変化なかった。【結論】cACHD患者において、AmはR群、NR群のいずれも8割程度の効果を有し、甲状腺機能障害は40か月で半数以上に発症した。間質性肺炎未発症の患者で%DLcoを除く呼吸器マーカーに変化なく、肝酵素上昇も認めなかったことから、AmはcACHD患者の呼吸器、肝臓に影響を与えず使用しうるといえる。