[III-S20-02] 成人先天性心疾患患者に対する就労支援の取り組み
Keywords:成人先天性心疾患, 就労支援, 身体障害者手帳
【背景および目的】成人先天性心疾患患者に関して、近年では患者の社会生活、いわゆる社会的自立に対する注目度が増してきている。成人先天性心疾患患者の社会的自立に関して多くの問題点があるが、就労と就業継続、年収、障害年金受給といった経済的問題が、患者の経済的・精神的苦痛と関連していることが指摘されている。社会的に自立できることを目的として、心機能や体調に合わせた愛媛県における就労支援への取り組みについて報告する。【対象】当科外来において経過観察中の成人先天性心疾患患者のうち、就労に関する相談および研修をうけた17名。年齢は、15~52歳、男性10人:女性7人、疾患の内訳は、ファロー四徴症7人、単心室3人、三尖弁閉鎖1人、肺動脈閉鎖1人、両大血管右室起始1人、右室定型性1人、大動脈狭窄人工弁置換術後1人、川崎病巨大冠動脈瘤1人、心室頻拍1人、であった。【方法】平成26年10月から、小児循環器外来と同じ日に、小児科外来に相談ブースを設けて、コーディネーター、企業の協力を得て、希望者に対して相談を行い、就労や就労内容に対する要望、資格や今までの経験などについて聞き取り調査をした。その後、企業を交えたカンファレンスで、提供できる可能性のある雇用機会を紹介し斡旋した。また、必要に応じて研修や就労支援を施行した。【結果】小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の一環として、「慢性疾患をのりこえていく子供たちのジョブプロジェクト」という事業として開始した。現在試行錯誤中ではあるが、未修復単心室患者に対しては在宅業務を紹介し、1例では、IT企業への就職を紹介、3例では研修を、17歳のダウン症候群患児に対しては、卒業までの1年計画での就労体験を企画した。【考案および結語】成人先天性患者に対する就労支援事業は重要で、コミュニケーション能力を向上させて働き甲斐を見出す契機になるものと思われた。