[III-S20-04] 学校心臓検診による社会貢献を考える
キーワード:学校心臓検診,正しい診断,適切な管理指導
小児循環器学会では、その専門医に対して,「優れた医学知識と高度の医療技術を備え、児童生徒に対する的確な心臓検診と適切な指導でもって,社会の福祉に貢献する」とされ心臓検診による社会貢献を明記している。今回は、学校心臓検診を通じての社会貢献について考察する。学校心臓検診は、学校保健事業の一つとして学校における児童生徒及び職員の健康の保持増進を図ることで行われている。その実施目標では、疾患を正しく診断しそれに応じた管理指導区分を定め、適切な管理指導を行って疾病の悪化を防ぎ、突然死を防止することであることを定めている。このような目的に合致した質の良い学校心臓検診が行われることは、社会への大きな貢献となると考えられる。質の良い学校心臓検診の構築ためには、システム全体を統括する組織があるのが望ましく、多くは、学校心臓検診判定委員会(以下委員会)等の名称で活動が行われ、検診システム全体の計画策定などを行っている。策定に当たっては次項のような点に配慮したシステムとする。(1) 検診の実施に当たっては、事前に学校(学校医や養護教諭)との連携、検診機関との調整を行い、各地域の実情を考慮したうえで、心臓検診の意義や実施項目に理解を得ておき、協力体制を整えて受診率の向上に注意を払う。(2)1次検診、2次検診以降の検診項目、判定、管理基準、フォローアップ体制について定めておく。これについては、小児循環器学会や日本循環器学会で学校心臓検診の各種ガイドラインや川崎病のガイドラインなどが定められており、それを参考にする。(3) 検診終了後にはそれを総括検証し、次回以降の検診の改善に資する。学校心臓検診の対象となる年齢は、小学校生から高校生まで年齢におよぶ。小児期全般の心臓の変化に習熟し専門的な知識を持つ小児循環器医への期待は大きいものがあり、学校心臓検診で中隔的な役割を担うことを望まれていると考えられる。