[III-S20-05] 小児循環器疾患から始まる少子超高齢社会と大規模災害に対応した地域医療情報連携
キーワード:少子超高齢社会,大規模災害,地域医療情報連携
【目的】全国に先駆け少子超高齢化と医療過疎が進む東北では、東日本大震災津波による住民情報やカルテの流失を経験し、広域での医療情報の共有と保全の重要性が一層明らかになった。私たちは、モバイル新生児心疾患遠隔診療システムに用いてきたスケーラブル映像符号化技術(SVC)をHD対応テレビ会議システムと医療情報リポジトリと組み合わせることで、地域の様々な診療科の医師と専門医を結ぶ地域医療情報連携(RHIO)システムを構築し運用を始めた。【方法】1. セキュアな通信網の中でHD対応テレビ会議システムを電子カルテ端末のディスプレイとして利用し、被災地5病院の担当医と大学病院の専門医が、ディスプレイに表示される電子カルテ上の診療情報を共有しながら症例を検討できるシステムを構築した。SVCを用いることで院外の帯域が不安定なモバイル通信網からも症例検討に参加できる。2. 大学病院の患者のSS-MIX標準化ストレージと画像情報等をキャンパス内の完全免震構造で発電設備を有する施設内に医療情報リポジトリとして保存するとともに、データ保全のため、異なる電力会社管内の遠隔地にバックアップを置いた。また、この医療情報リポジトリをセキュアな通信網の中で被災地病院と接続し、病院間の一連の診療情報を時系列形式で共有するシステムを構築した。【結果】1. 2014年は282件、延べ110時間のテレビ会議が行われた。小児科、循環器科等、画像診断が重要な診療科でのD to Dが中心であるが、遺伝相談等のD to Pや講習会とモバイル端末を組み合わせた遠隔教育としても利用された。2. 2011年からの患者約18万人、70TBの医療情報をリポジトリに保存した。【考察】少子超高齢社会と大規模災害に対応した、ベンダーに依存しないRHIOシステムが有効である。多職種間の連携には各種文書等、SS-MIX標準化ストレージ以外のデータの共有が課題である。