第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)3
周術期・集中治療における支援-1

Sat. Jul 18, 2015 1:30 PM - 2:15 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:荒木田 真子 (東京女子医科大学病院)

III-TRO-11~III-TRO-15

[III-TRO-11] 先天性心疾患と難聴をもつ思春期の自立を促すための母親への支援―手術のプレパレーションを活用した1事例―

半田 浩美1, 松下 志のぶ2, 金澤 伴幸3 (1.岡山大学病院 看護部, 2.岡山大学病院 手術部, 3.岡山大学病院 集中治療部)

Keywords:先天性心疾患児, 母親支援, セルフケア移行

【背景・目的】先天性心疾患児の母親は、自責の念、手術の不安や疾患管理を担ってきた経緯などから、母親から患児へのセルフケア移行は容易ではないと考える。今回、患児の手術のプレパレーションに合わせて母親を支援した結果、母親の認識や対処行動に影響を与えた事例を振り返り、先天性心疾患児の自立を促すための母親への支援について示唆を得る。【方法】手術のプレパレーション過程での母親への支援、患児と母親の反応を中心に看護記録を分析した。【倫理的配慮】対象者に研究の主旨、参加の自由意思、匿名性の厳守、プライバシーの保護、公表を口頭と書面で説明し同意を得た。【事例紹介】中学生A、総動脈幹症術後、再々手術目的で入院。難聴のため母親を介したコミュニケーションが多かった。【結果・考察】母親は再手術の必要性を理解していたが、手術確定後、ストレスのため不整脈が出現した上、心臓カテーテル検査後からAにパニック状態が現れたために手術の説明ができないまま入院した。プレパレーション前、母親にAへの説明は治療参画や自立につながることを伝え、母親の不安を軽減するために手術室やICUの見学を設定した。母親とAの反応を共有し、Aと医療者とのコミュニケーション方法や説明方法を提示した。その結果、母親がAに手術を伝えることができ、プレパレーション後、Aは手術室に入室することができた。Aがパニックにならなかったことで、母親は自立を視野に入れて難聴児の発達を促すための情報を希望し、退院後、Aの自立を促す母親のかかわりが増えた。一方、1回でも服薬管理で失敗すると、母親は命に関連する自己管理は難しいと捉えてセルフケア移行に影響を及ぼすことがある。今回、手術のプレパレーション前に母親の不安を軽減する支援を行い、患児が治療参画できるように母親のかかわりを支援することが母親の成功体験となれば、患児の自立を促すことにつながることが示唆された。