[III-TRO-14] 心臓血管外科手術後小児患者に対する改変版State Behavioral Scale (SBS)の妥当性
Keywords:SBS, 鎮静スケール, ICU
【背景・目的】State Behavioral Scale (SBS)は0~7歳で挿管中の患児を対象とした鎮静・不穏スケールであり、近年日本語版SBSの検証が行われている。今回、心臓血管外科手術後小児患者を挿管中・非挿管中に区分しSBSの妥当性を検証した。【対象者】2014年10月~2015年1月の期間で心臓血管外科手術後、ICU管理下にある0~7歳の患児を対象とし、「筋弛緩薬投与中」「術後意識障害を疑う症例」を対象除外基準とした。【方法】ICU入室から4時間毎と追加鎮静時にVisual Analog Scale(VAS)とSBSの同時評価を行った。評価期間は調査開始日からICU退室まで、または最大3日間とした。なおVASを-5(反応なし)~+5(不穏)の11段階に定義した。SBSは-3(反応なし)~+2(不穏)の6段階で使用した。【結果】101名の患児に対して1484回の評価を行った。平均月齢は16ヶ月±19.8ヶ月、Risk Adjustment for Congenital Heart Surgery(RACHS-1)の平均Scoreは2.6±1であった。ICU滞在期間中の挿管平均時間は2093分±4023分であった。非挿管平均時間は1465分±1088分であった。各対象者のVASとSBSの平均Scoreは、挿管中はVAS-2.3±1.6・SBS-1.5±0.9であり、非挿管中はVAS-0.1±1・SBS0±0.7であった。挿管中のVASとSBSはr=0.92(p<0.01)で正の相関を示した。また一元配置分散分析ではSBS各Scoreに対するVAS Scoreに対して有意差を認めた(p<0.01)。非挿管中でのVASとSBSも正の相関(r=0.89、p<0.01)を示し、一元配置分散分析の結果も挿管中と同様であった(p<0.01)。なお1歳未満、1~3歳、4~7歳の3つに区分し検定を行ない、全てで正の相関を認め(r=0.86~0.94、p<0.01)、一元配置分散分析で有意差を認めた(p<0.01)。【考察】SBSは挿管・非挿管に関わらず鎮静・不穏状態を評価できる有用なスケールであった。今後は信頼性の検証に加え、患児属性を分析した上で検証をしていく必要がある。