[III-TRO-18] 閉鎖式輸液ラインにおいてカテコラミンシリンジを交換する際の血行動態変動を回避するための取り組み
Keywords:カテコラミン, シリンジ交換, 血行動態変動
【背景】カテコラミンシリンジ交換時に一過性の血行動態変動がみられることがあり、その変動がより小さくなるシリンジ交換の方法やシステムがないか検討を行っている。これまでに、閉鎖式輸液ラインの三方活栓で延長チューブの脱着を行ってシリンジ交換を行うと薬液の逆流と押し込みが起こること、この薬液の逆流と押し込みがカテコラミンシリンジ交換時の血行動態変動に影響を与えている可能性があることを示した(第41回 日本集中治療医学会学術集会発表)。このような取り組みの中で、以前は逆流防止弁付き延長チューブ(JMS:JMS延長チューブ JV-EPP4100WL)を用いていたが、今回双方向弁付きコネクタ(コヴィディエン:NeutronTM)の存在を知り、それを閉鎖式輸液ラインに組み込む方法に変更した。【目的】双方向弁付きコネクタを組み込んだ閉鎖式輸液ラインを使用した患者と同コネクタを使用しなかった患者で、カテコラミンシリンジ交換後の血行動態変動の大きさに差があったか検証する。【方法】平成26年5月以降の双方向弁付きコネクタ使用症例のうち、1.先天性心疾患に対する手術を受けて小児ICUに入室し、2.術後に循環維持を目的として中心静脈カテーテルから3μg/kg/min以上のカテコラミン持続投与がなされ、3.深鎮静(SBSスケール-3~-2)の管理を必要とした、10症例のカテコラミンシリンジ交換後の血圧・心拍数の変動幅と交換前の血圧・心拍数に戻るまでの時間を収集した。その結果を双方向弁付きコネクタ導入前(逆流防止弁付き延長チューブ使用)で1.2.3.を満たす10症例と比較した。【結果・結論】双方向弁付きコネクタ導入後には、カテコラミン投与量の増量やペースメーカーにより強制的に心拍数を増加させるなどの介入を必要とした症例はなかった。双方向弁付きコネクタを閉鎖式輸液ラインに組み込むことにより、小児ICU患者の循環作動薬管理の安全性が高まる可能性が示唆された。