第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)4
周術期・集中治療における支援-2

Sat. Jul 18, 2015 2:15 PM - 3:00 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:笹川 みちる (国立循環器病研究センター)

III-TRO-16~III-TRO-20

[III-TRO-19] 口唇口蓋裂により再挿管困難症のある先天性心疾患患児が、グレン術後Nasal Hih Flow使用により再挿管を免れた一例

後藤 幸子, 森脇 仙恵, 原田 愛子, 笹倉 清美, 渡邉 裕美子 (国立循環器病研究センター)

Keywords:挿管困難, グレン術後, nasal high flow

【はじめに】口蓋裂による挿管困難症で、グレン術後呼吸状態不良により再挿管リスクの高かった児がNHF使用により再挿管を回避できた事例を経験したので報告する。【事例】主病名TA、VSD、TGA、口唇口蓋裂、鼻腔形態異常日齢23 PAB施行5か月 m-Norwood施行12か月 口唇裂に対し再建術1歳10か月 喘息性気管支炎と診断。【経過】グレン術後、肺の連続性副雑音が持続、吸気性喘鳴が強かったためステロイドなどの使用を開始し、術後8時間で抜管。分泌物が多く、吸気・呼気時に喘鳴が著明、肺虚脱予防のためSiPAPを開始。啼泣するとSiPAPがフィットせずPEEPがかからないため鎮静剤を使用。抜管後13時間SpO2低下。吸入薬を開始し気管支拡張剤、去痰薬を再開。粘稠痰が多量に引けるがSpO2は上昇せず用手換気実施。鼻腔の形態異常により有効なPEEPがかかっていないと判断されNasal High Flowに変更。NHF装着後SpO2上昇。加圧を行わず経過。術後2日目以降NHFの酸素濃度、流量を漸減し4日目に離脱。【考察】グレン術後は肺血流を維持し循環動態を安定することが大切である。人工呼吸器での陽圧呼吸では肺血流が抑制されるため、早期に抜管しグレン循環に身体が適応することを待つ。SiPAPでは鼻プローベをフィットさせPEEPをかけるが、プローベの圧迫により機嫌が悪くなり鎮静剤を投与することがある。本児も鎮静しSiPAPを装着したが、口蓋裂と鼻腔の形態異常がありプローベのフィットが悪く、啼泣するとPEEPがかからなかった。NHFに変更し、適切な加温・加湿ができ、鎮静剤を使用しないことで有効な咳嗽が得られ、酸素化を保つことができた。また体位変換の制限もないため、呼吸リハビリを容易に行えたことで肺コンディションの維持ができ、再挿管が回避できたと考える。【まとめ】口唇口蓋裂、鼻の形態異常をもつグレン術後の患児の術後急性期において、NHFを使用することで、再挿管を回避し、呼吸・循環動態の安定を図ることが出来た。