[III-TRO-22] デブリーフィングを導入したECMO装着シミュレーションの効果~A病院のPICUスタッフを対象にして~
Keywords:ECMO, シミュレーション, デブリーフィング
【背景】A病院PICUは8床で4人夜勤体制であり、夜間ECMO装着となると手術室看護師はオンコール体制のため、4人夜勤の中で迅速に対処しなければならない。そのため、スキルアップと共通認識獲得が必要であると考えた。【目的】デブリーフィングを用いたシミュレーションを行い、効果を検討した。【方法】夜勤帯を想定したリーダー1人・受け持ち1人・外回り2人を4グループ作り、研究者が心臓外科医師2人の設定でシミュレーションを各グループ3回ずつ行う。その様子を撮影し、デブリーフィングを行う。結果は所要時間を平均±標準偏差で示し、各回の群間比較は一元配置分散分析を行う。また半構成的質問用紙によるアンケートも用いてデブリーフィングの有用性を考察する。【倫理的配慮】A病院の看護部研究倫理委員会の承認を得た。【結果】1回目(23.5±3.2分)2回目(20.6.±4.2分)3回目(18.6±0.4分)と減少したが、群間に統計学的有意差は認められなかった。アンケートではECMO装着へのイメージの獲得、自分・他者の動きの客観的把握、自己・他己評価による改善点の明確化、声の掛け合いの重要性などがあげられた。【考察】統計学的な有意差はないが、平均時間と標準偏差の減少から全体的な技術向上があったと考える。その要因は、状況変化が多い臨床に近い状況で、考えながら動く事で行動・感情の疑似体験ができECMO装着へのイメージトレーニングができた事、その後すぐに振り返りを行えた事、繰り返しトレーニングした事と考える。そのため現任教育の中で継続する必要があると考える。加えて、自分を含め全てのスタッフの動きを可視化した事で、自己・他己評価による建設的な振り返りを深める事につながり、自律的な思考と行動変容が促されたと考える。【結論】デブリーフィングを用いたシミュレーションは、チームダイナミクスが必要な流動的に状況変化があるものに関して有効であると考える。