第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

一般口演(多領域専門職部門)5
多職種連携・教育

2015年7月18日(土) 15:00 〜 15:45 第7会場 (1F シリウス)

座長:仁尾 かおり (三重大学)

III-TRO-21~III-TRO-25

[III-TRO-23] PICUを併設する小児循環器病棟における急変時対応能力向上のための取り組み

礒崎 恵, 三原 加恵, 長野 美紀, 小濱 薫 (国立循環器病研究センター 乳幼児病棟)

キーワード:現場教育, 急変時対応, デモンストレーション(デモスト)

【はじめに】生後直後から乳児期の先天性心疾患を有する患児の術前・術後管理において、容体急変のリスクが高く、高度なアセスメント能力と実践能力が求められる。また疾患によって急変時対応が異なるため、小児循環器疾患の特殊性を踏まえた現場教育の意義は大きい。今回、集中治療室を併設する小児循環器病棟において看護師の急変時対応能力向上のための取り組みを行ったので報告する。【取り組み方法】 1.医師と看護師のコアメンバーでA:HLHS、Norwood術後患児のconduit狭窄による呼吸停止、B:CoA患児がductal shockにより緊急搬送され救命処置を行う場合の2パターンのシナリオを作成。2.医師と共にデモストを実施し互いの評価を行う。3.デモスト前後にアンケートを行い急変時対応に必要な知識と意識の変化を調査する。【結果】 デモスト終了後、看護師からは「コミュニケーションの重要性」「能力に応じた的確な役割分担」「処置の介助や技術、曖昧な薬剤の知識などの明確化」「薬剤に応じた注射器の選択方法や注入方法」「優先順位を考えた行動」について学びがあった。医師からは、「急変時の指示の出し方」など考え直す機会になったという意見があった。【考察】PICUの重症患児の急変時対応能力として必要なものは、動脈管依存疾患やN2吸入療法中で急変時酸素投与が可能か等の疾患・血行動態の理解であり、わずかな状態の変化にも早く気付き医師に的確に報告すると同時に治療経過をアセスメントし必要な観察・処置ができることである。今回、急変時対応のディスカッションを医師と看護師と共に行うことにより医師から治療の考え方や根拠について説明を受けることでよりその場面を共有することができ、急変時対応の能力向上につながったと考える。今後も、様々な症例のデモストを繰り返し行う事でより効果が向上することを期待する。