[III-TRP-05] A病院の看護師の急変に対する現状把握―効果的なシミュレーションの考案に向けて―
Keywords:現状把握, 急変時対応, シミュレーション教育
【背景】最適な救命処置が遅れることは患者の生命予後に大きく影響する。急変時、速やかに患児に適した緊急物品の準備ができれば、急変対応の時間は大幅に短縮できる。救急カートを院内統一することが理想である。しかし、対象疾患や年齢に幅があり現実的には困難な状況である。そこで、Broselow TM Pediatric Emergency Tapeや小児救急シートの概念を参考に検討し、急変時対応シミュレーションを行った。その中で病棟毎に「急変」に対する認識の差を感じた。【目的】看護師の急変に対する現状把握を行い、急変時対応教育の基礎資料にする。【方法】小児循環器領域に携わる病棟看護師23名に半構成的質問用紙を用いてアンケート調査を実施【倫理的配慮】当院の倫理委員会に基づき、対象者に研究趣旨と方法、研究協力・撤回の自由、個人情報の遵守について説明し、承諾を得た。【結果】 回収率60%。「救命処置の実施に対する不安がある」64%。そのうち Pediatric Intensive Care Unit(以下PICUと略す)経験5年以下は88%、看護経験年数10年以上は44%。「胸骨圧迫の実施に自信がない」64%。そのうちPICU経験5年以下は77%、看護経験年数10年以上は44%。「マスクバッグの実施に自信がない」28%。そのうちPICU経験5年以下は100%、看護経験年数10年以上は50%。複数回答で「急変時の流れを知りたい」「実際に練習したい」「医師が来るまでにできることを確認したい」が3割を占めた。自由記載では「一般病棟勤務では急変対応が少なく、PICUで急変を経験しイメージがついた。」があった。【考察】急変の経験が多いとされる領域の看護師でも経験年数に関わらず半数以上が急変時の対応に不安を抱いており、経験病棟によっても意識や技術に差があった。適切な救命処置を行うためには、病棟の特色を捉えたシミュレーションの考案と日頃からのトレーニングを重ねておくことが必要である。