[III-TRP-06] 心室中隔欠損閉鎖術の電子教材が手術室看護師の器械出し技術に及ぼす効果 第2報
キーワード:小児開心術, 器械出し, 電子教材
[背景]A病院での平成25年度の心臓血管外科手術は551件。小児心臓手術が292件、そのうち先天性心疾患手術難易度Cは130件である。小児開心術の手術看護は、高度な専門知識と洗練された技術が求められる。昨年来、電子教材の効果について1名の看護師で調査を行い、その効果を発表してきた。今回追加5名の看護師で検証を行い、開心術のトレーニングを始める看護師の共通手術技術のイメージ化と、反復学習を目的に作成した電子教材の効果について更なる知見を得たので報告する。[方法]小児開心術の器械出し経験が5回以内の看護師を対象とした。質的評価には電子教材視聴前後のアンケート調査、量的評価には前回と条件を変え、執刀医は1名から3名とした。対象症例と体重を、当初は6kg未満の心室中隔欠損閉鎖術(以下VSD)としていたが、A病院ではVSD の手術が少なく、対象症例をVSD8例、ファロー四徴症3例、房室中隔欠損症1例に拡大した。体重は2.5kg~8.4kgであった。皮膚切開から大動脈遮断までの時間を計測。視聴前後の経過時間を比較した。[結果]視聴前の平均時間は33分で、視聴後は31分であった。対象者個々で検証すると有意差が見られなかった者がいた。アンケート調査では、小児開心術の共通手術技術のイメージ化ができたという意見が、6名中5名であった。[考察]視聴前後の時間計測で有意差がなかった要因として、対象となる症例や体重を拡大したことや、同一執刀医での計測とはならなかった点が考えられた。アンケート結果からは、従来の教育方法に電子教材を加えることで、習得すべき器械出しのポイントがイメージ化でき、それを反復学習することによって技術向上に繋がったと考える。[結論]小児開心術の器械出し共通技術のイメージ化と技術向上につながった。対象看護師の開心術に対する苦手意識が改善された。