第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般ポスター(多領域専門職部門)

3-01 その他

一般ポスター(多領域専門職部門)3
家族支援

2015年7月18日(土) 09:35 〜 10:00 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:青木 雅子 (東京女子医科大学)

III-TRP-11~III-TRP-15

[III-TRP-11] 重症先天性心疾患と胎児診断された母親の思い

花崎 哲朗, 村上 麻美, 濱田 文乃 (東京都立小児総合医療センター)

キーワード:胎児診断, 重症先天性心疾患, 母親の思い

[背景]胎児診断は重症心疾患の治療体系の中で欠くことのできない重要な一翼を担っている。今回、胎児診断で重症先天性心疾患と診断され、当病棟へ入院となった母親の思いの1事例について報告する。[研究目的]胎児診断を受けた母親の思いを分析し、関わりのあり方を検討する。[方法]半構造化面接で得られた情報の中から、質的記述的分析を行なった。[結果]胎児診断で病気が発覚した時、母は「諦めようと思った」「(生まれても)治療をしないって選択もあるのかな」と述べ、出産するまでの間、「色々制限かけてまで治すのは親のエゴじゃないか」「すごく可哀想で、小さいのに何回も手術もしなきゃいけない。おっきくなって子どもが生めるか分からない」と迷う気持ちを抱いていた。しかし、生まれてきた我が子を前にし「生まれると可愛い」「(泣かないと思っていたので)泣いたって気持ちでした」と深い愛情を抱いていた。胎児診断を受けていた事で、「胎児診断と全く同じだったので特にそこからショックを受けることは無かった」「胎児診断を受けてから2ヶ月あったので今は落ち着いていられる」と述べ、出産までの期間を「心の準備期間である」としていた。[考察]胎児診断は出生後の早期介入を可能とし、多くの命を救う事へとつながる。また家族も心構えを持って我が子を迎え入れる事が出来る。その一方で、先天性心疾患と胎児診断された両親の心理的動揺は計り知れない。本事例も生むか生まないかの葛藤がみられていたが胎児診断から出産までが心の準備期間となり、母の受け入れに重要な役割を果たしていた。また胎児診断を受けていたからこそ、出産後に新たなショックを受けることなく、家族の動揺を軽減することにつながったと考える。[結語] 本事例は胎児診断により心の準備期間が設けられ、精神的不安の除去につながった。しかし、ケースによって受容過程は異なるため、その家族に応じた理解が重要である。