第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

一般ポスター(多領域専門職部門)

3-01 その他

一般ポスター(多領域専門職部門)3
家族支援

Sat. Jul 18, 2015 9:35 AM - 10:00 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:青木 雅子 (東京女子医科大学)

III-TRP-11~III-TRP-15

[III-TRP-12] 先天性心疾患を持つ母親の育児困難感に影響を与える要因検討

林 侑輝, 内川 友起子, 石井 千有季 (和歌山県立医科大学附属病院)

Keywords:先天性心疾患, 育児困難, 母親

【目的】 先天性心疾患(以下,CHD)児の母親は,健常児の母親に比べ育児の困難感が大きいとされている。このため,育児困難感の現状・要因の把握が重要であると考える。本研究は,育児困難感に影響を及ぼす要因の検討を行うことを目的とした。【方法】 対象は,H25年10月からH26年12月にA病院に入院したCHD児とその母親とした。育児困難感は,東京都南多摩保健所の「子育てアンケート」を用い,「虐待要因一覧表」のカテゴリー(1.家庭基盤,2.親準備性,3.親子の愛着形成,4.育児力,5.子どもの健康問題)で点数化した。合計24点以上を要支援群,以下を支援不要群とした。また,疾患分類,在宅酸素,同胞の有無で比較を行った。検定はJMP.ver.10を用い,p<0.05を有意差ありとした。【倫理的配慮】入院時に研究目的,個人情報の保護等を口頭で説明し,子育てアンケートの提出により同意とした。【結果】 回答者70名(年齢中央値:母親:33.9歳,児:28.6か月)中,非チアノーゼ42名,チアノーゼ28名であった。また,要支援群は26名,支援不要群は44名であった。 カテゴリー小分類では,「母の現在の体調」,「家庭問題」,「愛着形成」,「出産時の気持ち」,「育児力」,「上の子の様子」で要支援群の回答割合が有意に高値であった。また,疾患分類においては,非チアノーゼがチアノーゼに比較して合計点が有意に高値を示し,在宅酸素,同胞の有無では,合計点に差は認めなかった。【考察】 体調不調,育児への自信がない母親に対しては,育児に対する何らかの支援が必要である。また,疾患分類では,非チアノーゼの母親の育児困難感が高かった。非チアノーゼは表面的には健常児との差異が明確でないことで,医療管理の必要性を他者に理解してもらうことやそれに対する支援を獲得することが困難となり,育児困難感を高める要因となる可能性が考えられた。