[III-TRP-17] 若手心臓血管外科医を対象とした体外循環技術研修
Keywords:研修, 心臓血管外科, 体外循環
【背景】心臓血管外科手術を行う上で、人工心肺の使用は不可欠である。人工心肺ガイドライン(厚生労働省:人工心肺装置の標準接続方法およびそれに応じた安全教育等に関するガイドライン)にも記されているとおり、心臓血管外科医はより安全に手術を行う上で体外循環の知識および技術の取得は重要とされているが、その研修プログラムを確立している施設は少ない。今回、当院にて若手心臓血管外科医を対象に体外循環技術研修を実施したので報告する。【対象と方法】心臓血管外科専修3年目の医師を対象とし、研修期間は1年とした。研修プログラムを作成し臨床工学技士指導の下、実施し研修後アンケートを行った。【結果】研修プログラムに基づいて29例(1:組立・充填まで15例、2:1+記録まで8例、3:2+大動脈遮断中操作まで5例、4:3+離脱まで1例、5:シミュレーション1例)の研修を行った。2.3.4の内訳は、VSD:7例、CoA complex:1例、TGA:1例、DORV+PA:2例、TAPVC:1例、TOF:1例、DORV+TV dysplasia:1例で平均体重14.9kg(3.0~46.6kg)であった。アンケートに関しては、「何が分からないかが明確になった、知識を深めることができた、術者と臨床工学技士のコミュニケーションの重要性を知った」と回答があった。【考察】臨床工学技士の誕生により体外循環は臨床工学技士の専門職となり、その安全性は増した。一方、心臓血管外科医が体外循環に関しての知識を深める機会が減少し、専門医取得に体外循環に対する理解や実際の操作は必要がないことがそれに拍車をかけている。複雑な循環動態に対応する小児心臓血管外科では体外循環の知識、実践は必須であり、本研修プログラムは臨床工学技士とのコミュニケーションを良好にすると共に、心臓血管外科手術の安全性向上につながり必要かつ有用である。