[III-TRS3-01] 先天性心疾患に対する術前OPE室スタッフミーティングの強化
キーワード:先天性心疾患, 外科治療, 手術
【背景】先天性心疾患に対する手術症例数の点で,ハイボリューム施設群に属さない教育病院において、安全かつ良質な手術を遂行するには一層の努力と工夫を要する。特に複雑先天性心疾患の形態と手術操作を手術室スタッフ全員で理解し共通認識することは容易ではない。【方法】医師中心の術前カンファレンスとは別に、2009年から手術室の多職種スタッフ(看護師、人工心肺技師、麻酔科医、小児心臓外科医)による術前ミーティングを行ってきた。同時に小児心臓外科医は電子カルテ機能を最大限に活用し手術記録の記載を徹底的に充実化した。その結果、手術操作手順に沿ったカラーの手術シェーマ、術中画像の取り込み、箇条書きの手術操作手順、使用した糸針から生体材料、手術器械までが記載された手術記録(以下,強化型手術記録)が作成されるようになった。そこで過去の症例と同一あるいは類似した疾患例に遭遇した際は、その強化型手術記録をスタッフ全員で閲覧し操作手順をシミュレートした。また稀少疾患例では過去に録画された手術ビデオも活用した。さらに最近では胸部CT画像から3Dプリンターモデルを作成し術前ミーティングへの導入を開始しつつある。【結果・考察】強化型手術記録の導入により手術の準備と予習が容易となった。また術中のインシデント・アクシデント防止につながり、稀な疾患に対しても手術の進行がスムーズとなった。さらに3Dプリンター心疾患モデルは、疾患の形態的特徴と操作手順の重要ポイントを明確化し,スタッフ間の情報共有化にも有用である。【結論】強化型手術記録,手術ビデオ,さらに3Dプリンター心疾患モデルを術前ミーティングに導入することは、複雑先天性心疾患の手術リスク軽減と治療成績向上に寄与し得る。また若手スタッフ育成の面からも有効と考えられる。