第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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シンポジウム(多領域専門職部門)

シンポジウム3(多領域専門職部門)
小児心疾患-術中の麻酔と人工心肺管理 up to date-

Sat. Jul 18, 2015 10:30 AM - 12:00 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:
安永 弘 (聖マリア病院)
仁尾 かおり (三重大学)

III-TRS3-01~III-TRS3-04

[III-TRS3-03] 小児心臓手術の体外循環管理

南 茂, 加藤篤志, 田口英昭 (東京女子医科大学病院 臨床工学部)

先天性心疾患の外科手術は、疾患、年齢、体格など幅広い症例が対象となる。特に小児領域では、新生児期に複雑心奇形の姑息もしくは根治手術が行われ、難度の高い手術手技が求められる。患児の心臓は極端に小さく、さらに送脱血カニューレが手術野を占領して手術操作を困難にする。体外循環管理では、循環血液量に対して体外循環充填量が多く高度希釈となること、病態により循環管理が変わること、指標となるモニタリングが難しいなど課題は多い。これらの状況を改善するために、小児専用装置の使用、体外循環回路、体外循環法の再考、体外循環時の血液浄化など、体外循環技術とその管理が重要となる。我々は先天性心疾患の外科手術における体外循環に関するアンケートにより、使用材料(回路、人工肺等)、体外循環管理(体外循環法、モニタリング)、安全装置について調査したので報告する。人工心肺回路は、体重/灌流量別回路を揃え患者にあった必要最小限の充填量になるよう設計されている。医療材料(人工肺・送血フィルター、回路)は低充填量のものを使用し、分離型人工心肺装置の採用により回路短縮・小径化など充填量低減が図られている。体外循環法においては、機械的補助脱血法を用いることで脱血回路の小径化と、脱血カニューレのダウンサイズ傾向が見られ、人工物との接触面積低減と手術野の確保に貢献していると考えられる。小児体外循環では充填液、体外循環中および後を含めて何らかの血液浄化法が用いられていた。体外循環中のモニタリングでは、末梢循環の指標としてrSO2、NIRSを頭部だけでなく腹部にも使用している例、Pulse Oxy-meterを上肢・下肢の両方に装着している例などが見られた。体外循環の安全では安全装置設置基準が示されており、先天性の体外循環分野においても安全意識は高いものと考える。先天性心臓手術における体外循環技術・管理の追及は、患者の予後改善に寄与するものと考える。