[III-YB14-02] 2001年以降に経験したフォンタン適応の内臓錯位症候群—総死亡に関連する因子について—
Keywords:内臓錯位症候群, 死亡原因, 総肺静脈還流異常
【背景・目的】フォンタン(F)術を目指す機能的単心室症例のうち内臓錯位症候群(Htxy)、とくに無脾症候群(無脾症)は、現在でも生命予後及びF到達率の悪い疾患群である。今回、2001年1月以降に当院を受診したHtxy159例の総死亡に対するrisk 因子を検討したので報告する。【対象・方法】対象はHtxy159例。性別、無脾症あるいは多脾症候群(多脾症)の例数、主心室形態、房室弁形態、肺動脈形態、合併症として心外型総肺静脈還流異常(TAPVD)の分類と合併率及び治療を要した不整脈の種類と例数、F到達率、総死亡例数と原因、生存率を調べた。また、死亡のrisk因子を性別(男)、無脾症の有無、主心室形態の違い(右室か否か)、外科的修復を要した房室弁閉鎖不全(AVVR)の有無、心外型TAPVD合併の有無、肺動脈閉鎖合併(PA)の有無、治療を要した不整脈の有無につきCox比例ハザード分析を行った。【結果】男:女=93:66、無脾症:多脾症=136:23、主心室が右室:右室以外=132:27、房室弁で共通房室弁は110例(69.2%)で修復を要したAVVR合併は44例(27.7%)、心外型TAPVD合併は62例(39.0%)、PA合併は61例(38.4%)、治療を要した不整脈合併は34例(21.4%)、Hazard Ratio(HR)が有意であった項目は、主心室が右室以外;HR=2.34(95%信頼区間(CI);1.25-4.39、p<0.01)と心外型TAPVD合併;HR=2.40(95%CI;1.42-4.08、p<0.005)であった。F到達率=48%、総死亡数は65例(40.9%)で、死因では肺静脈狭窄が13例、感染症が12例及び心室機能不全が9例と多い原因であった。10年生存率=54.7%であった。【考察】当院でのF適応のHtxy症例のF到達率は現在でもよいとは言い難く、死亡対するリスク因子で心外型TAPVD合併と右室以外の単心室が有意であったが、生存例を増やすためには、TAPVD修復法、時期、手術後PVOの早期発見の工夫と心機能温存のため心筋保護方法のさらなる検討等が必要である。ただ、現実的には今後も試行錯誤するしかないと考える。