第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

1-04 複雑心奇形

要望演題14
Heterotaxy

2015年7月18日(土) 11:10 〜 12:00 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
篠原 徹 (近畿大学)
塩野 淳子 (茨城県立こども病院)

III-YB14-01~III-YB14-05

[III-YB14-05] 多脾症の門脈循環と肺合併症

高橋 信1, 那須 友里恵1, 中野 智1, 早田 航1, 岩瀬 友幸2, 小泉 淳一2, 猪飼 秋夫2, 小山 耕太郎1 (1.岩手医科大学附属循環器医療センター 循環器小児科, 2.岩手医科大学附属循環器医療センター 心臓血管外科)

キーワード:多脾症, 門脈大循環シャント, 肺動静脈瘻

多脾症は心疾患合併以外に, 門脈大循環シャント(PSS)を含む腹部静脈還流異常や肺動静脈瘻(PAVF), 肺高血圧(PoPH)を伴うことがある. 先天性以外に手術加療による2次性の発現もあり病態をより複雑にしている. 今回, 多脾症とPSS, PAVF, PoPHの合併について検討した. 【対象・方法】US, CT, カテーテル検査で心疾患と腹部静脈還流を評価し得た多脾症 14例. 心形態的に1心室修復群(Univentricular candidate:UVC群)と2心室修復群(Biventricular candidate:BVC群)に分類した. 【結果】UVC群7例, BVC群7例. BVC群は1例を除き根治術を施行, UVC群は2例の姑息術以外はフォンタン手術(F術)を施行. BVC群ではPSS, PAVF, PoPHともに認めなかった. UVC群では, PSSは4例, PAVFは3例, PoPHは1例に認めた. PSSは門脈本幹と(半)奇静脈吻合の3例と肝内門脈枝と肝静脈吻合の1例で, 肝内門脈低形成は1例に認めた. 生後早期に発見した先天性PSSは2例であった. PAVFは生直後から生じた1例と, F術後の肝静脈血の肺血流不均衡を認めた2例に認めており, PSSは2例に合併していた. PoPHは1例のみ認め, 肝内門脈低形成を認めたPSSと生直後からのPAVFを合併していた. PSSの結紮閉鎖による門脈血流増加でPAVFは軽減したがPoPHが顕性化した. 【まとめ】多脾症でPSS, PAVF, PoPHの合併はUVC群にのみ認められた. 先天性のPSSは存在し, PAVFも先天性とF術による2次性のものがある. PAVFの存在時にはPSSの有無の確認は必要である. PoPHとPSS, PAVFの関連性について, 肝内門脈低形成は関係している可能性はあるものの不明である.