第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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要望演題

1-09 集中治療・周術期管理

要望演題15
集中治療・周術期:不整脈

Sat. Jul 18, 2015 1:30 PM - 2:20 PM 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
小出 昌秋 (聖隷浜松病院)
長井 典子 (岡崎市民病院)

III-YB15-01~III-YB15-05

[III-YB15-02] 小児心臓術後のJunctional ectopic tachycardia (JET) に対するアミオダロン使用の経験

川崎 有亮1, 村山 友梨1, 夫津木 綾乃1, 植野 剛1, 吉澤 康祐1, 石道 基典1, 大野 暢久1, 藤原 慶一1, 鶏内 伸二2, 坂崎 尚徳2 (1.兵庫県立尼崎病院心臓センター 心臓血管外科, 2.兵庫県立尼崎病院心臓センター 小児循環器内科)

Keywords:Junctional ectopic tachycardia (JET), アミオダロン, 先天性心疾患術後管理

【背景】Junctional ectopic tachycardia (JET)は、先天性心疾患(CHD)周術期に2.7-10.2%で発症する重篤な合併症である。近年、アミオダロン(AMD)の有効性が報告されているが、使用法については議論が残る。今回、JETに対するAMD使用例を後向きに調査し、効果を検討した。【対象と方法】JETの治療にAMD使用を第一選択とした2010年1月から2014年12月の期間の2歳未満CHD手術315件のカルテを検索し、術中と周術期48時間以内にJETを認めた症例を抽出した。JETの診断は(1)心拍数170bpm以上、(2)narrow QRS、もしくは術後脚ブロックを伴うwide QRS、(3)房室解離があり心室レートが心房レートより速い、これら3項目を満たす場合とした。AMDは3-15γで維持投与した。循環動態不安定症例には初期投与5mg/kgを短時間投与をおこなった。その間、電解質、貧血、容量補正、カテコラミンの可及的減量、軽度低温(34-36℃)を行った。AMD中止基準は低血圧、徐脈(80bpm以下、ペーシング無効)の出現とした。洞調律への復帰、ペーシングで血行動態を維持可能な場合を有効とした。【結果】JET発症は315件中17件(5.4%)(新生児4件、乳児9件、幼児4件)、手術内訳はVSD閉鎖5件、Jatene手術3件、単心室4件(TCPC:2、BT:1、TAPVR:1)、TF心内修復術2件、CoA complex修復術、Double switch各1件であった。17件中1件はペーシングで血行動態が安定したためAMDを使用せず、残り16件でAMD投与を行った。中止は2件、いずれも低血圧が原因で、1件はLOSで死亡、1件はAMD中止後に改善、4時間後に洞調律復帰した。初期負荷は3件で行い、維持量の平均は5γであった。治療開始から24時間以内で11例、48時間以内に残り1例で有効性を認めた。1例でAMD中止35時間後にJET再発を認め、AMD投与再開、内服移行を要した。【考察、結語】JETに対しAMDを使用した文献では、有効性が45%-92%、低血圧の発症頻度が2.5%-10%とされて、本研究もこれらと遜色ない結果であった。