[III-YB15-05] PCPS装着を要した術後房室接合部異所性頻拍の治療戦略
Keywords:房室接合部異所性頻拍, アミオダロン, 塩酸ランジオロール
[背景] 術後房室接合部異所性頻拍(JET)は時に血行動態を著しく悪化させ、場合によっては危機的な状況に陥れる。従来の治療として、体温コントロール・カテコラミンの中止・Naチャネル遮断薬の静注・心房心室順次ペーシング・多チャネル遮断薬の静注に加えて、近年では塩酸ランジオロールの静注も行われているが、しばしば治療抵抗性である。[目的]今回我々はPCPS装着を要した術後JETを2例経験し、その治療戦略について検討する。[方法]基礎疾患、手術前の治療、手術時期・内容、JETの出現時期・レート、治療、転帰(術後経過)などを調べた。[結果]症例1:large VSD,CoA,食道閉鎖。Septationの可否判断が困難でday12両側PAB、day69 VSD閉鎖+CoA修復術。術前長期にPGE1持続静注。術直後よりJET出現。レートは180→200→270bpmと徐々に上昇しPCPS装着。7日間で離脱。装着中アミオダロン(AMD)10γ、ランジオロール5-10γを継続し、35℃台で体温コントロール。ペーシング9日間。人工呼吸管理16日間。症例2:SV,CAVV,PA,Asplenia。生後1ヵ月右BTS+動脈管結紮、生後4ヵ月左BTS。生後9ヵ月グレン手術+房室弁形成術。1歳11ヵ月フォンタン手術(穴付)+房室弁置換術+CRT。術後4日からJET出現。レートは160bpm台でAMD10γ、ランジオロール5γを開始。レートが200bpm以上となり術後5日にPCPS装着。2日間で離脱。装着中AMDは一旦中止し離脱前日から10γで再開。ランジオロールは5-10γで継続し、体温は35℃台にコントロール。人工呼吸器9日。2例共PCPS離脱後JET再発なし。[考察] PCPS装着中、心房心室ペーシングが可能となりAMDが定常状態と判断出来る段階でPCPSを離脱することとした。一方でPCPS装着前に即効性のあるニフェカラントの使用も一考である。[結語]PCPS装着を要したJETを心房心室順次ペーシング・AMD・塩酸ランジオロールでコントロールした。