第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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会長賞選別講演

会長賞選別講演

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 6:10 PM 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
中西 敏雄 (東京女子医科大学)
小川 俊一 (日本医科大学)

PPS-01~PPS-G20

[PPS-01] 経皮的に小口径人工血管流量調整を可能とする簡易装置の開発~流量調整可能なBlalock-Taussig Shuntのために(第2報)

本橋 宜和1, 根本 慎太郎1, 島田 亮1, 打田 裕明1, 小西 隼人2, 佐々木 智康2, 勝間田 敬弘2, 團 和則3 (1.大阪医科大学附属病院 小児心臓血管外科, 2.大阪医科大学附属病院 心臓血管外科, 3.株式会社東海メディカルプロダクツ)

Keywords:手術材料, 流量可変人工血管, BT shunt

【背景と目的】Blalock-Taussig shunt手術(BTS)では肺血流を最適化する人工血管のサイズ選択の客観的指標は無い。時に生じる高肺血流ショックや流量不足の課題に対し、シャント血流を経皮的に調節可能とする装置の新規開発で解決を模索した。第一報では、本装置がシミュレーション回路での流量調整が可能であることを示し、犬を使った埋植実験での短期データを報告した。今回、埋植後中期での本装置の性能を検討した。【方法】装置は、市販皮下ポートと接続した2cm長の円筒形のポリウレタン製のバルーンで、径5mmのPTFE人工血管を内挿して使用する。ポートからバルーン内の生理食塩水の量を調整し、バルーンの拡張によって人工血管の径を変化させて血流量を可変する。ビーグル犬の内頚動脈を本装置装着の径5mmのPTFE人工血管で置換し、径3.5mm人工血管を再現するバルーン容量を与える。留置時のバルーン注入前後およびバルーン注入維持3か月後のバルーン虚脱前後における人工血管末梢側の血流を超音波検査で測定した。3か月後に装置を摘出して観察した。【結果】ビーグル犬5頭への移植実験を行った。移植直後の最大流速はバルーン注入前:151±124cm/s注入後:99.9±100cm/sであった(変化率-34.4±18.3%)。3か月後では、バルーン注入状態:123±179cm/s、バルーン虚脱後:196±305cm/sと増加(変化率59.7±28.3%)した。3か月後の摘出標本では、人工血管とバルーンの間に癒着や組織の侵入は無く、装置の作動を妨げる所見を認めなかった。【考察・結論】本装置により、数か月間に渡る小口径人工血管の流量調節が経皮的に可能であった。今後は、更なる小口径人工血管用バルーン作成やBTSモデルでの実証に発展させたい。