第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長賞選別講演

会長賞選別講演

2015年7月16日(木) 17:20 〜 18:10 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
中西 敏雄 (東京女子医科大学)
小川 俊一 (日本医科大学)

PPS-01~PPS-G20

[PPS-02] Fontan術後患者の幼児期における精神発達評価

小野 晋, 柳 貞光, 渡邉 友博, 新津 麻子, 金 基成, 西澤 崇, 上田 秀明, 康井 制洋 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:Fontan, 発達, 新版K式発達検査

【目的】Fontan術後患者の幼児期における精神発達について考察する。【対象・方法】当科で2013年7月から2014年12月の間に新版K式発達検査を受けたFontan術後患者の幼児27例(男:18人、年齢:2-5歳)の診療録を後方視的に検討し、患者背景(低出生体重児であったか、胎児診断の有無、介入を要した高肺血流状態の有無、初回手術時日齢、初回on-pump手術時日齢、手術回数、Glenn手術到達月齢、Fontan手術到達月齢)、検査時血行動態指標(動脈血酸素飽和度:SpO2、中心静脈圧:CVP、心係数、脳性ナトリウム利尿ペプチド)と新版K式発達検査結果(認知・適応発達指数:Cognitive・Adaptive:CA、言語・社会発達指数:Language・Social:LS)の関連について考察する。上記発達指数については70未満を遅滞、70以上85未満を境界、85以上を正常と定義しており、CA、LSについてそれぞれ70未満に寄与する因子を多重ロジスティック回帰分析を用いて求める。【結果】全患者における発達指数の平均はCAが82.4(54-115)、LSが78.6(47-115)であった。多重ロジスティック回帰分析では、CA70未満に寄与する因子はFontan手術到達月齢(Odds比=1.3、p=0.02)で、LS70未満に寄与する因子はGlenn手術到達月齢(Odds比=0.2、p=0.003)、SpO2(Odds比=0.4、p=0.005)、CVP(Odds比=2.3、p=0.04)であった。【結論】Glenn手術到達月齢は遅いこと、Fontan手術到達月齢は早いことが精神発達に好影響を与える。また術後の状態としてはSpO2が高く、CVPが低いことが精神発達に好影響を与える。