[PPS-03] Norwood手術における右側右室肺動脈導管法の有用性に関する検討
キーワード:左心低形成症候群, Norwood手術, 右室肺動脈導管法
【目的】Norwood手術時における右側右室肺動脈導管法の有用性を左側右室肺動脈導管法と比較・検討する。【対象】左心低形成症候群・類縁疾患に対して右室肺動脈導管法を用いたNorwood手術28例を対象とした。右側右室肺動脈導管法(R群)15例 、左側右室肺動脈導管法(L群)13例であった。Norwood手術時の日齢の中央値はR群12日(1-211)、L群9日(4-30)、体重はR群2.6kg(2.0-3.6)、L群2.8kg(2.5-3.6)であった。導管はR群の1例で1弁付き6mm ePTFE graft、他27例で5mm ePTFE graftを選択し、肺血流量制御をR群6例、L群4例で施行した。【結果】Norwood手術終了時の動脈血酸素飽和度(%)はR群74.4±3.5、L群79.7±3.7、動脈血酸素分圧(mmHg)R群38.5±4.5、L群36.9±2.7であった。早期死亡はR群2例、L群2例、Glenn手術前死亡はR群2例、L群1例であり、Glenn手術非到達率はR群6ヵ月66.7%、12ヵ月35.6%、L群6ヵ月46.2%、12ヵ月30.8%であった。R群でGlenn手術までに肺動脈側グラフト吻合部の左肺動脈入口部閉塞を2例、グラフト閉塞を2例認めた。Glenn手術前の心臓カテーテル検査(Norwood術後R群4.8±2.2ヵ月、L群3.2±2.8ヵ月)では、動脈血酸素飽和度(%)R群78.1±3.8、L群80.0±4.2、右室拡張末期容積(%N)R群129.5±42.5、L群154.4±33.4、肺体血流比R群0.88±0.39、L群1.1±0.55、肺動脈インデックス(mm2/BSA) R群138.3±53.8、L群264.1±80.4。Glenn手術時に、R群ではグラフト吻合部はGlenn吻合に含めて形成したのに対し、L群の3例でグラフト吻合部の拡大形成を別に要した。Glenn手術後の肺動脈インデックス(mm2/BSA)R群160.9±60.9、L群212.4±50.1、Glenn圧(mmHg)R群9±0.7、L群11.2±2.2であった。【結語】Norwood手術における右側右室肺動脈導管法は導管の肺動脈側吻合に更なる工夫が必要であるが、術後の心室容量負荷が少なく、Glenn手術時の肺動脈形成が容易であるという利点がある。