[PPS-04] 当院マルファン外来における各種遺伝子異常の頻度
Keywords:マルファン, 遺伝子, ゲント基準
【背景】2010年のゲント基準の改定により、マルファン症候群(MFS)の診断においてFBN1遺伝子変異、大動脈拡張、水晶体偏位がより重視されるようになった。しかし小児期は表現型が明らかでないことが多く、保険収載のない遺伝子検査の閾値をどこに設定するかが難しい。【目的】当院マルファン外来における小児患者の各表現型・各種遺伝子異常の頻度を明らかにすること。【方法】対象は当院マルファン外来にてMFSあるいは疑いとしてフォローされており、初診時に20歳未満であった患者のうち、何らかの遺伝子検査を施行された134名。初診時年齢、大動脈基部拡張(Zスコア≧2)の有無、水晶体偏位の有無、FBN1をはじめとする各種遺伝子異常の有無を後方視的に検討した。【結果】対象患者の男女比は86:48、初診時年齢の中央値は16歳(4-19歳)であった 。Zスコア≧2を満たすものが34%、水晶体偏位を認めたものが15%であった。遺伝子検査において、何らかのFBN1変異を指摘されたのは59名(44%)、うちMFSの原因として既知のFBN1変異が同定されたのは42名、MFSとの関連が不明なFBN1変異が同定されたのが10名であった。またMFS類似疾患に関連して、TGFBR1/2変異が同定されたのが5名、MYH11変異が同定されたものが2名、FBN2変異が同定されたのが1名であった。既知のFBN1変異が同定された42名のうち20名においては、初診時に大動脈瘤の家族歴、Zスコア≧2の大動脈拡張、水晶体変異のいずれも認めていなかった。【結語】遺伝子検査施行例の約半数で何らかの遺伝子変異が同定された。その一部では表現型の明らかでない症例もあり、外来での長期フォローにつながった。また、Loeys-Dietz症候群を初めとするMFS類似疾患が診断される例も存在し、MFS診断における遺伝子解析の重要性が示唆された。