第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長賞選別講演

会長賞選別講演

2015年7月16日(木) 17:20 〜 18:10 第3会場 (1F ペガサス C)

座長:
中西 敏雄 (東京女子医科大学)
小川 俊一 (日本医科大学)

PPS-01~PPS-G20

[PPS-04] 当院マルファン外来における各種遺伝子異常の頻度

大森 紹玄1, 犬塚 亮1, 田中 優1, 中釜 悠1, 進藤 考洋1, 平田 陽一郎1, 清水 信隆1, 武田 憲文2, 藤田 大司2 (1.東京大学医学部付属病院 小児科, 2.東京大学医学部付属病院 循環器内科)

キーワード:マルファン, 遺伝子, ゲント基準

【背景】2010年のゲント基準の改定により、マルファン症候群(MFS)の診断においてFBN1遺伝子変異、大動脈拡張、水晶体偏位がより重視されるようになった。しかし小児期は表現型が明らかでないことが多く、保険収載のない遺伝子検査の閾値をどこに設定するかが難しい。【目的】当院マルファン外来における小児患者の各表現型・各種遺伝子異常の頻度を明らかにすること。【方法】対象は当院マルファン外来にてMFSあるいは疑いとしてフォローされており、初診時に20歳未満であった患者のうち、何らかの遺伝子検査を施行された134名。初診時年齢、大動脈基部拡張(Zスコア≧2)の有無、水晶体偏位の有無、FBN1をはじめとする各種遺伝子異常の有無を後方視的に検討した。【結果】対象患者の男女比は86:48、初診時年齢の中央値は16歳(4-19歳)であった 。Zスコア≧2を満たすものが34%、水晶体偏位を認めたものが15%であった。遺伝子検査において、何らかのFBN1変異を指摘されたのは59名(44%)、うちMFSの原因として既知のFBN1変異が同定されたのは42名、MFSとの関連が不明なFBN1変異が同定されたのが10名であった。またMFS類似疾患に関連して、TGFBR1/2変異が同定されたのが5名、MYH11変異が同定されたものが2名、FBN2変異が同定されたのが1名であった。既知のFBN1変異が同定された42名のうち20名においては、初診時に大動脈瘤の家族歴、Zスコア≧2の大動脈拡張、水晶体変異のいずれも認めていなかった。【結語】遺伝子検査施行例の約半数で何らかの遺伝子変異が同定された。その一部では表現型の明らかでない症例もあり、外来での長期フォローにつながった。また、Loeys-Dietz症候群を初めとするMFS類似疾患が診断される例も存在し、MFS診断における遺伝子解析の重要性が示唆された。