第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

教育セミナー(多領域専門職部門)

教育セミナー1(多領域専門職部門)
静注用エポプロステノールの導入と管理のコツ

Fri. Jul 17, 2015 2:40 PM - 3:25 PM 第7会場 (1F シリウス)

座長:
岩朝 徹 (国立循環器病センター)
松﨑 陽子 (岡山大学病院)

TRES1-01~TRES1-03

[TRES01-03] 患児への病気と治療の説明とその必要性

原田 香奈 (東邦大学医療センター大森病院 看護部)

特発性肺動脈性肺高血圧症を発症した患児には、発症時からの定期的な外来受診や検査入院と、長期的な内服や点滴による薬剤治療が必要になる。また、病状の進行や状態に応じて酸素療法や活動制限が加わることになる。患児が日常生活や学校生活を送る上で、様々な制限が加わることは、その子どもの病気受容やアドヒアランスにも影響を与える要因になる。遠方から受診している患児・家族も多く、エポプロステノールの持続投与の開始が必要となった段階でも、患児が自分の病気についてあまり理解していないことも多い。そして、内服や酸素療法の必要性もよくわからないまま、医療者や家族に必要と言われたから、小さい頃から行っているから何となくといった漠然とした認識で受動的な場合もが多い。家族にとっても、わが子に病気についてどのように説明すれば良いのか、どこまで説明すれば良いのかがわからず、新たな治療や病状進行に不安や葛藤を抱えている。そのため、ブロビアックカテーテルを挿入して、エポプロステノールの持続投与を開始する場合、医師や看護師、チャイルド・ライフ・スペシャリストらが連携して、患児自身にも病気や治療の説明を行っている。また、家族と相談したり、家での様子などを確認したりしながら、教育的な関わりを行っている。発症時の年齢や発達段階にもよるが、自分の病気や治療の必要性をどのように理解しているのかは、その子どもの成長過程において、病気受容や自己管理、親子関係などに影響を与える。特に学校生活においては、担任やクラスメイトからの理解や協力が必要になる。しかしながら、患児らは過度な心配や保護を受けるのではなく、他児らと同様に可能な範囲で学校生活を送れることを望んでいる。カテーテルや薬剤の自己管理においても、患児自身が病気や治療の必要性を理解して主体的になることで、家族内での協力体制や自己管理への意欲とその後の自立に繋がるのである。