The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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AHA-AEPC-JSPCCS-TSPC Joint Symposium

AHA-AEPC-JSPCCS-TSPC Joint Symposium (AJS)
Heart examination and sudden cardiac death

Thu. Jul 7, 2016 8:40 AM - 10:40 AM 第C会場 (オーロラ ウェスト)

座長:
安河内 聰(長野県立こども病院 循環器センター)
Jan Janousek(2nd Faculty of Medicine of the Charles University and University Hospital Motol Children’s Heart Centre)

AJS-01~AJS-04

8:40 AM - 10:40 AM

[AJS-04] 学校心臓検診と突然死予防

太田 邦雄 (金沢大学医薬保健研究域 小児科)

 金沢大学病院は金沢市(2015年現在人口約46万人、15歳未満人口13.5%)とその周辺市町村の学校心臓検診精密検査機関である。金沢市では、2006年から2015年までの10年間に、小中学校1年の計75,610名に心臓検診が行なわれた。精密検査の結果、心房中隔欠損症2名のほか、運動制限が必要な新規診断例は20名を数え、そのうち2名が肥大型心筋症(HCM)、17名がQT延長症候群(LQTS)であった。
 小中高校1年生に対する心臓検診が1995年に法的に義務付けられて20年余が経過した。この間幸いにも金沢市では小・中学校管理下での児童生徒の突然死の報告はない。全国的にも、学校管理下における突然死は近年減少傾向にある。このことは、心臓検診がHCMやLQTSなど突然死を起こす疾患の管理に役立っていることを示唆する。一方自動体外式除細動器(AED)の学校配備は急速に進み、これに伴って児童生徒の心原性院外心停止(OHCA)の転帰改善が報告されている。
 2005年から2009年の5年間に全国で発生した小中学生の心原性OHCAについて行われた研究では、58例が登録された。学校内発症例は32例(55%)、学校外発症例は26例(45%)であった。学校内は学校外に比べ、バイスタンダーAED施行率が高く(38%vs 8%, p=0.01)、社会復帰率が良好であった(69%vs 35%, p=0.02)。発生場所は運動場、プール、体育館で8割を超えた。最終診断はLQTSとHCMが合わせて約3割を占めた。両疾患は学校心電図検診でスクリーニング可能であるが、見逃し例もある。さらに特発性心室細動や冠動脈奇形は安静時心電図では抽出できない。従って“児童生徒の突然死ゼロ”を目指すには、心停止例の解析から得られる情報に基づいた学校救急体制の構築と学校心臓検診の精度改善にむけたフィードバックが必須である。