The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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教育講演

教育講演2(EL02)
小児難治性心室性頻拍の外科治療

Thu. Jul 7, 2016 11:20 AM - 12:05 PM 第A会場 (天空 A)

座長:
森田 紀代造(東京慈恵医科大学 心臓血管外科)

EL02-01

11:20 AM - 12:05 PM

[EL02-01] 小児難治性心室性頻拍の外科治療

新田 隆1, 坂本 俊一郎1, 佐々木 孝1, 石井 庸介1, 林 洋史1, 村田 広茂1, 清水 渉1, 森田 紀代造2 (1.日本医科大学 心臓血管外科、循環器内科, 2.東京慈恵会医科大学心臓外科)

【背景】小児期に発生する心室性頻拍(VT)はしばしば薬物治療抵抗性で、カテーテルアブレーションも困難な例も多い。小児期における難治性VTに対する外科治療の役割を検討した。
【症例】2002年3月から現在までに1歳11か月から79歳まで合計28例の非虚血性VTに対して外科治療を行った。このうち15歳以下の小児は4例で、基礎疾患は各々、出生前より診断されていた左室線維腫、Gorlin症候群に伴う左室下壁び漫性線維腫、心室中隔欠損症術後、Rastelli術後であった。手術の適応は薬剤抵抗性のVTで、幼児以外の3例ではカテーテルアブレーションが施行されたがいずれの例でも無効であった。VTの種類は多発性線維腫の1例では2種類以上認められたが、他では1-2種類であった。術前から植込み型除細動器(ICD)を装着していた例はなかったが、1例で手術までの待機期間で着用型除細動器(WCD)を使用した。
【手術と結果】全例でelectroanatomical mapping (CARTO system) を用いて術中心外膜のマッピングを行い、voltage mapによる低電位部位の同定とともにVTが誘発された例ではVTのactivation mappingを行った。腫瘍に一致して低電位あるいは異常電位が記録され、先天性左室線維腫の幼児では腫瘍摘出し、辺縁に凍結凝固を加えた。び漫性線維腫では、腫瘍の完全摘出は困難であるため、心外膜と心内膜から腫瘍辺縁を凍結凝固し、腫瘍部分を電気的に隔離した。心臓手術後の1例では左室下壁に巣状興奮を認め同部に心室切開と凍結凝固を行い、他の1例ではマクロリエントリー回路を同定しリエントリー回路の切断を行った。
手術死亡はなく、術後8-48ヶ月の観察期間でVTの自然発生は見られていない。多源性VTを示した左室下壁び漫性線維腫1例で、術後電気生理検査にてVTが誘発されたためICDを植え込んだ。
【結語】心臓腫瘍に合併するVTと心臓手術後のVTに対する外科治療を行った。詳細な術中マッピングにより高い根治性が得られた。