08:40 〜 09:30
[I-OR101-04] 総肺静脈還流異常、肺静脈閉塞を合併した左心低形成に対し、段階的手術を行い2心室修復に到達した一例
キーワード:左心低形成、総肺静脈還流異常、二心室修復
[はじめに]PVO合併TAPVCの新生児期の手術成績は近年改善してきているが、左心低形成との合併例では一期的根治術は難しく、段階的な手術が必要となる。[症例]40週6日、2994gで出生した男児。出生後チアノーゼ、呼吸障害を認め、当院に搬送入院となった。SpO2は酸素投与下に85%であり、X線上肺うっ血は明らかであった。心エコー上TAPVC(1b)、PVOと診断したが、さらに左房、左室は極端に小さく、大動脈縮窄を認め、PDAの血流は上行大動脈まで逆行していた (僧帽弁輪径は53% of N(normal), LVDd=48% of N) 。左心低形成と考え、ノルウッド型手術を目指してPDAを開存し、日齢8に両側肺動脈絞扼術を施行した。肺動脈血流を制限することでPVOをコントロールし、さらに日齢28にTAPVC修復術とASD拡大術を施行した。しかし術後1ヶ月から吻合部狭窄が進行し、生後2ヶ月で再手術を要した。PVOが解除されると左室への流入血流は増加し、次第に左室の成長を認め、PDAの上行大動脈への逆行性血流は消失した(僧帽弁輪径は89% of N, LVDd=68% of N) 。心カテにて左室容量が73% of Nにまで成長しており2心室修復可能と判断した。生後4ヶ月時に穴あきパッチで心房中隔を再作成、大動脈縮窄修復術を施行した。その後も左心機能は保たれ、僧帽弁逆流の出現もなく心房間交通は左右シャントであった。呼吸補助からも速やかに離脱し、生後6ヶ月で退院となった。[結語]本症例は当初一心室修復の方針であったが、TAPVCの解除、ASDの拡大に伴い左室は成長し、最終的に2心室修復可能となった。TAPVC合併左心低形成では、TAPVCを先行修復することで左室の成長が促され、2心室修復術につながる可能性がある。