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[I-OR105-02] 胎児診断を受けた完全大血管転位の臨床像
キーワード:完全大血管転位、胎児診断、緊急心房中隔裂開術
【背景】完全大血管転位(TGA)は出生後に重症化する代表的な先天性心疾患である。近年、TGAの胎児診断例が増加しているが、胎児診断を受けたTGAの臨床像は不明な点が多い。【目的】胎児期からフォローすることができたTGAの臨床像を明らかにする。【対象と方法】2006年から2015年までの10年間に、著者所属の2施設において胎児診断されたTGA 40例を対象に二次精査への紹介理由、分娩時および出生後の状況を後方視的に検証した。【結果】一次スクリーニングで異常があると診断されたのは在胎20週-37週(中間値27週)で、その理由として流出路異常が11例、three vessel viewの異常が15例、three vessel trachea viewの異常が5例であった。二次精査でI型28例、II型12例であった。妊娠週数は27週1日-41週4日(median:39週3日)であり、31例が自然分娩、4例が緊急帝王切開、5例が計画分娩、うち2例で心房間狭小化のため計画的娩出を行った。出生時APGAR(5min)は6-9(median:8)で、体重は1148-3733g (median:3036g)であった。心房中隔裂開術(BAS)は28例で行ったが、うち緊急で施行したのは25%、全例の18%にあたる7症例であった。待機中に19例で人工呼吸器管理を要し、うち14例で出生直後より挿管管理が必要であった。根治術は全例で行われており、時期は日齢1-613(median:日齢10)、うち2例で術後ECMOが導入されたが、日齢11-636(median:日齢27)に全例で軽快退院となっている。【結語】1. TGAの胎児スクリーニングにはthree vessel viewが必要であった。2. 胎児診断を受けていても緊急BAS、生後早期からの呼吸管理の頻度は多かった。3. 早期に根治術が施行され生命予後も良好であった。4. 今後は緊急例の層別化が課題である