第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

複雑心奇形

一般口演1-05(I-OR105)
複雑心奇形

2016年7月6日(水) 17:15 〜 18:15 第F会場 (シンシア サウス)

座長:
土井 拓(天理よろづ相談所病院 先天性心疾患センター)
脇 研自(倉敷中央病院 小児科)

I-OR105-01~I-OR105-06

17:15 〜 18:15

[I-OR105-04] Norwood-Sano Procedure : Ringed vs Non-Ringed RV-PA conduit

栄徳 隆裕1, 馬場 健児1, 近藤 麻衣子1, 栗田 佳彦1, 福嶋 遥佑1, 重光 祐輔1, 平井 健太1, 大月 審一1, 佐野 俊二2, 笠原 真悟2, 小谷 恭弘2 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 心臓血管外科)

キーワード:HLHS、RV-PAshunt、mNorwood

【背景】当院ではHLHSに対する初回手術として右室-肺動脈導管(RV-PAshunt)を用いたm-Norwoodを基本戦略とし、high risk群(2.5kg未満、TRmoderate以上、PVO、身体合併奇形)にはbil.PABを行い、1ヶ月程度でde-bandingとmNorwoodを行なう。RV-PAshuntの素材として、初期には5~6mm径のePTFE(expanded PolyTetraFluoroEthylene)人工血管を用いていたが、shuntの近位部狭搾を生じやすいなどの問題点を抱えるため、2011年6月から現在まで全例Ringed PTFEを使用し一定の効果を得ている。【目的と対象】2011年6月から2015年12月までRinged PTFEを使用した連続30症例(R群)と、それ以前の連続30症例(old群)(2006年2月~2011年5月)とを比較検討する。【方法】各群でa.先行してbil.PABを行なった症例数、b.BDG前にshunt近位部狭窄と診断された症例数、c.BDG到達数、d.Fontan手術到達数と待機患者数とを比較検討した。【結果】R群:old群でa.15(50%):9(30%)〔p=0.11N.S.〕、b.3(10%):13(43%)〔p=0.0035〕c.29(96.7%):24(80%)〔p=0.04〕、d.12(40%):21(70%)と16(53%):3(10%)〔N.S.〕であった。PAIやBNP、RVEFやTRgradeに差は認めなかった。【考察】R群はshunt近位部狭窄が有意に少なく、BDGまでの死亡率が低いこと、またR群はまだ若くFontan手術待機症例が多いことが読み取れた。PAB先行はバイアスとなっている可能性があるが有意差は認めなかった。治療技術や管理技術発達の影響は含まれることが想定される。【結語】Ringed PTFEを導入することでmNorwood手術の成績は向上しており、Sano-procedureは更に高い到達地点に達したと言える。